血液検査の「γ-GTP値」の異常で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「γ-GTP値」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
肝機能障害
肝機能障害は、何らかの理由で肝臓の働きが著しく低下した状態です。初期は自覚症状が無いケースが多いものの、症状が進むと強い倦怠感や食欲不振があらわれ、肝硬変・肝不全まで進行すると横断や腹水などがあらわれることもあります。
アルコールや脂質の過剰摂取、生活習慣病、更年期以降の女性ホルモンの低下などが原因となる場合が多いですが、薬剤の副作用によって急激に発症するケースも考えられます。
肝機能障害が判明した場合、生活習慣や持病の改善、原因によっては抗ウイルス薬や肝機能を助ける薬の投与などをおこないます。
十分な休息を取っても疲れが取れないときや、白目の部分が黄色く見える黄疸が現れた場合は、速やかに消化器内科を受診してください。
更年期障害
更年期障害は、閉経を挟む前後5年ほどの期間に、女性ホルモンの減少をおもな原因とする体調不良がおこる症状です。
エストロゲンには、肝臓への脂肪の蓄積をやわらげる働きがあるため、更年期にエストロゲンが低下すると脂肪肝になりやすくなり、γ-GTPも上昇しやすくなります。また、更年期は、気持ちのゆらぎや生活習慣の乱れが起きやすい時期でもあります。
気持ちの落ち込みやほてり、発汗などがつらい場合は、早めに婦人科で相談しましょう。更年期障害にくわえてγ-GTPの上昇が見られる場合は、消化器内科への相談も推奨されます。
胆嚢炎
胆嚢は、肝臓でつくられた胆汁を十二指腸に運ぶ「胆管」の途中にある袋状の臓器で、胆汁を溜めて濃縮する役割があります。胆汁の結晶「胆石」が胆嚢で詰まった状態に細菌感染が起きたり、長期の絶食や胆管の閉塞があるなどの原因によって、胆嚢が炎症を起こすと、胆嚢炎(急性胆嚢炎)が起こります。
急性胆嚢炎では、白血球数や炎症を示すCRPが上昇するとともに、ASTやALT、γ-GTPなどの肝臓の検査値が上昇します。絶食や点滴、抗菌剤などで改善することもありますが、経過によっては溜まった胆汁を排泄する処置や、胆嚢の摘出手術が検討されます。
上腹部痛や右肋骨下の痛み、発熱、嘔吐などが見られたら、消化器内科を受診しましょう。
ウイルス性肝炎
ウイルス性肝炎は肝炎ウイルスの感染により肝臓に炎症が起き、細胞がダメージを受ける病気です。急性の肝機能障害が起こる急性肝炎の経過は一般的に良好ですが、B型(とくに出産時・乳幼児期の感染)・C型による慢性化した肝炎は、肝硬変や肝がんの原因になるリスクが高い点が問題です。
急性肝炎は、C型以外は自然治癒するケースが多く見られます。しかし、慢性化したB型やC型は、抗ウイルス薬やインターフェロン、肝臓を守る薬などによる治療をおこないます。
血液検査で肝機能の異常や肝炎感染の可能性があると指摘されたら、必ず消化器内科を受診して感染の有無を確認しましょう。
肝がん
肝がんは肝臓の細胞ががん化して増殖する病気です。おもな原因は、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスへの持続感染といわれていますが、アルコール性肝障害や脂肪肝などから進行するケースもあります。
初期段階では自覚症状が無いケースが多く、肝炎や肝硬変などによって肝機能が低下すると、食欲不振やだるさ、むくみなどがあらわれます。治療は、がんの大きさや数、転移の有無などによって、手術による切除や抗がん剤、がんに針を直接刺して焼いたり、アルコールを注入する局所療法、肝移植などが選ばれます。
自覚症状がないため、初期の肝がんを自分で発見するのは困難です。血液検査で肝機能の異常が見られたら、必ず消化器内科を受診しましょう。
肝硬変
肝硬変は、長引く炎症によって肝臓が硬く小さくなり、元の健康な状態に戻れなくなった状態です。
肝臓の解毒機能や代謝機能が著しく損なわれるため、さまざまな血液検査の数値に深刻な異常が現れるようになります。完治は難しいため、原因となる疾患の治療や、不足しているアミノ酸の投与などにより症状の進行を遅らせる治療をおこないます。
基本的には、肝硬変までの進行を防ぐために、原因疾患の適切な治療・管理をおこなうことが大切です。また、基準を満たした場合には肝移植を行うこともあります。
肝機能の異常を指摘されたら、必ず消化器内科を受診しましょう。
γ-GTPが高い更年期の女性に効果的な対処法とは?
生活習慣の見直し
生活習慣の乱れによってγ-GTPが高い場合、まずは食事や運動の見直しをおこないます。具体的な内容は以下の通りです。
項目 取り組みたい内容
食事 糖質や脂肪の摂りすぎを避ける。食物繊維の多いもの、緑黄色野菜を取り入れる。
運動 体を動かす習慣を付ける(できれば週に150分以上が望ましい)。有酸素運動と筋肉トレーニングのどちらも効果がある。
食事は、過剰な脂質や糖質を避け、野菜や食物繊維をしっかりと取り入れます。果物は糖質が多いため、摂りすぎには注意が必要です。
また、筋肉が増えると代謝が良くなり糖質・脂質が消費されやすくなるため、運動習慣を付けることも欠かせません。週に150分以上が望ましいのですが、まずは毎日5分・10分でも良いので体を多く動かすように心がけましょう。
肝臓・肝機能向けのサプリメントは摂取して良い?
肝臓・肝機能向けのサプリメントの摂取は、慎重な検討が必要です。ウコンやスルフォラファンなどの成分がよく流通していますが、サプリメントは基本的に健康な方の体調サポートを目的としています。
そのため、すでに肝機能に注意が必要とされている場合は、摂取前に医師へ相談するのが望ましいでしょう。
医療機関の受診と適切な投薬治療
γ-GTPが高いと指摘された場合、まず行うべきは医療機関への受診です。
医療機関では再度の血液検査や腹部エコー検査をおこない、生活習慣の指導や薬物療法などの治療をおこないます。肝臓の異常は自覚症状があらわれにくいため、「何ともないから様子をみよう」「サプリを飲んでみよう」などとして受診が遅れると、気付かないうちに肝機能が大きく低下する可能性もあります。
検査で異常を指摘されたら、必ず消化器内科を受診しましょう。

