大阪・布施。商店街のざわめきの中に、小さな韓国料理屋「漢拏(ハンラ)」がある。元は惣菜屋。今もママは、家の台所に立つみたいな気配で、鍋をかきまぜている。昼でも夜でも頼める定食。素朴な小鉢。キムチのおかわり。時々、娘さんと笑い合う姿も見える。ここは、家でもあり、店でもある。
そんな食卓が、今日も町の腹と心を、そっと支えている。

はじまりは、台所のにおいから
布施駅を出て、商店街を数分。八百屋や焼き鳥屋が並ぶ、暮らしの音がする通りの一角に、小さな韓国料理屋がある。
ガラス張りの扉越しに見えるのは、立ちのぼる湯気と、テレビから流れる韓国語。名前は「漢拏(ハンラ)」。どこか異国。でも、肩の力が抜ける空気がある。

店を営むのは、近所で長年惣菜屋をしていたママ。テイクアウト専門だった惣菜屋を閉じて、「今度はごはんを食べてもらえる場所に」と2020年に店を開いた。
あの頃の味を、そのまま、いまの食卓に。始まりは、家の台所から漂う匂いのようなものだったのかもしれない。
昼でも夜でも、おかずが待ってる

ハンラの定食は、昼だけじゃない。夜でも、ふつうに、当たり前のように頼める。
スンドゥブ、ビビンバ、テンジャンチゲ。990円から頼める定食には、小鉢が4つ、ごはん、そしてキムチがついてくる。

どの皿にも、誰かの手が感じられる温度があって、しみじみおいしい。キムチはおかわり自由。ママが「もっと食べる?」と聞いてくれることもある。
それだけで、ここが店であることを、ちょっと忘れてしまう。
