あの一皿が、また食べたくなる
ハンラの料理は、派手さがない。けれど、一口目で「ああ、家の味だ」と思う。

たとえばキンパ。注文を受けてから巻いてくれるから、ごはんがふっくら温かい。具材は控えめ、だけどちゃんと味があって、主食としてじゅうぶん成立してる。

蒸し豚(ポッサム)も、じんわり沁みる。分厚いのに柔らかくて、キムチと炒めたほっくほくのにんにくをのせて頬張れば、ごはんが止まらない。
サムギョプサルは食べ放題。だけど、自分で焼くスタイルじゃない。厨房で丁寧に焼かれたお肉を、できたてのまま持ってきてくれる。
“ちゃんと作ってる”って、こういうことだと思う。誰かの顔を思い浮かべながら、台所に立つ気配がある。
外の中にある、うちの気配
ハンラには、“入りやすい店”以上に、“迎えてくれる空気”がある。

お昼どきは、買い物帰りのおばちゃん。夕方は、仕事終わりのサラリーマン。どちらにも、ママは変わらない声で「いらっしゃい」と言い、必要があればそっと「おかわりいる?」と聞いてくれる。
食べ終えて店を出るとき、「またね」と手を振ってくれる。それが、妙にうれしかったりする。外にある、うちの気配。ここは「外食」じゃなくて、「外の食卓」なんだと思う。
