手紙の内容が気になる《手紙を読む青衣の女》
ヨハネス・フェルメール《手紙を読む青衣の女》, Public domain, via Wikimedia Commons.
フェルメール・ブルーがふんだんに使われ、かつ彼の作品に欠かせない「手紙」がモチーフとなっている、1枚で深くフェルメールを味わえるお得な絵画。ここでは手紙に注目してみましょう。
17世紀当時のヨーロッパでは、文字を読める人はかなりの少数派でした。ところが、フェルメールが活躍したオランダは例外で、ずば抜けて識字率が高かったのです。大都市に暮らす人々のほとんどは文字を読むことができ、手紙をやり取りする文化が花開きました。
ヨハネス・フェルメール《手紙を読む青衣の女》(部分), Public domain, via Wikimedia Commons.
本作に描かれるのは、真剣に手紙を読む女性。彼女のお腹は膨らんで見え、妊娠しているかのよう。となると、手紙は離れて暮らす夫から届いたものでしょうか?
「世界一の港町」と呼ばれたオランダは海上貿易が盛んで、仕事のために男性が長く家を空けることがよくあったそうです。手紙も到着するまでに数ヶ月はかかるため、夢中で読みふける女性の気持ちもわかるような気がします。
画家の栄光と名声を描いた?《絵画芸術》
ヨハネス・フェルメール《絵画芸術》, Public domain, via Wikimedia Commons.
《絵画芸術》は、フェルメールが生涯ずっと手元に置いていた作品。パトロンから注文されたものではなく、画家が自我を出して自己表現した絵画、と言えるかもしれません。
奥にいる女性は女神クリオに扮しているとされ、月桂樹の冠は「栄光」を、トランペットは「名声」を表しています。そんな女性を絵に描こうと、こちらに背を向けてる画家…彼はフェルメール自身ではないか、とも。
ヨハネス・フェルメール《絵画芸術》(部分), Public domain, via Wikimedia Commons.
まるで、自分には「栄光」や「名声」が与えられて然るべし、とでも言いたげな本作には、地図や書物などさまざまなモチーフが詰め込まれています。引き算が特徴のフェルメールにしては珍しく、足し算を重ねた絵画です。
普段の作風を捨ててまで、画家が表現したかったこと…正解は本人にしかわかりませんが、ひとりの芸術家としての矜持があったのだろうと考えられます。生涯手放さなかったことからも、フェルメールにとって特別な価値があったのではないでしょうか。
