最初期の宗教画《ディアナとニンフたち》
ヨハネス・フェルメール《ディアナとニンフたち》, Public domain, via Wikimedia Commons.
フェルメールは日常のワンシーンを描いた画家として有名ですが、駆け出しの頃は宗教画を描いていました。当時のヨーロッパでは主題によっても絵画の優劣がつけられ、宗教画は風俗画よりも圧倒的に格上。フェルメールも最初は、最上位とされるジャンルからスタートしました。
そんな初期の代表作が《ディアナとニンフたち》です。フェルメールの数少ない宗教画のひとつで、黄色い服を着た女神ディアナと取り巻きのニンフたちが描かれています。
神話に題材を取ったものの、描かれたのは1人のニンフがディアナの足を洗うという日常的な場面。最初期の作品なのに、何気ない暮らしに着目するフェルメールらしさがすでに醸成されています。
数少ない風景画《デルフトの眺望》
ヨハネス・フェルメール《デルフトの眺望》, Public domain, via Wikimedia Commons.
室内と人物を描いた作品が多いフェルメールにとって、《デルフトの眺望》は珍しく風景を描いた絵画。デルフトは、フェルメールが生まれてから亡くなるまでを過ごした町です。
風景画でも静けさが印象的なのがフェルメールらしいところ。本作は朝の様子を描いており、時計台の描写から「7時10分」であることも読み取れるそうです。研究者やマニアの方は、凄く細かい部分まで見ているのですね…。
さて、本作が描かれたとされる場所を訪れたことがあるので、写真で紹介します。
デルフトの風景(2019年9月撮影)
絵画のほうが広々とした印象ではないでしょうか。上から見下ろす視点もあってか、横の広がりはもちろん、奥行きもより広く描かれているように思います。
人も実際より小さく描かれ、風景の雄大さが際立ちます。建物の位置関係も現実とは異なり、アレンジを加えているそうです。
フェルメールは「カメラ・オブスキュラ」という初期のカメラを使って絵を描いていた、と言われています。ある程度は本当のようですが、カメラが映したものを単純になぞったわけではありません。
《デルフトの眺望》は風景画だからこそ、画家が現実のどこを改変したかが読み取りやすいように思います。フェルメールの美意識をより強く感じられる作品ではないでしょうか?
デルフトの風景(2019年9月撮影)
《デルフトの眺望》と同じ景色が見える場所には、「ここで風景を楽しんでください!!」と言わんばかりのベンチがあります。世界中のフェルメールファンが聖地巡礼に訪れ、このベンチに腰掛けて画家に想いを馳せている…のかもしれません。
