火のそばで、宿題をする風景
厨房に立つのは、奈良の名店「焼肉工房もく」で修行を積んだ店主。一見強面だけど、話すとふっと柔らかく笑う人。
ホールを回すのは、明るくて、気のまわる奥さん。平日の夜、テーブルのひとつを使って、小学生の娘さん2人が静かに宿題をしていた。
炭火のそば、ノートに向かうその後ろ姿に、この店がただの「外食の場」じゃないことを教えられた気がした。暮らしの中に、ちゃんと根を張っている焼肉屋なんだな、と思う。
暮らしの中の焼肉屋でありたい
内装はすべてDIY。家族で壁にペンキを塗り、木材を切って打ちつけた。真新しいのに、どこか懐かしい。そんな空間が生まれていた。

「誰でも気軽に入れて、どの年代の方にも楽しんでいただける焼肉屋にしたいんです」そう語ってくれた奥さんの言葉が、すっと腑に落ちた。
小学生以下はソフトドリンク110円。子ども用のうどんもある。キッズチェアも、ちゃんと準備されている。この店は“非日常”じゃなく、“ちょっといい日常”のためにある。
「焼肉を、特別なものにしすぎなくていいんですよ」その一言が、この店のすべてを語っていた気がする。
