●徹底された「証言の信用性」の検証
母親は、記者会見後の報道やSNSでの反響が検察の再捜査につながった可能性もあると感じている。
大阪地検による被害女性への聞き取りは5〜6回に及び、関係者への聴取もおこなわれた。。
「以前言っていたことと矛盾がないか、かなり深く詰められました」(母親)
被害女性によると、事件は次のような経緯だった。
女性は整骨院で施術を終えた後、院長に呼び止められ、ハグされたまま施術室に連れて行かれた。
施術室で院長は女性の首にキスをし、服の上から胸を触ったという。女性が拒否してもやめず、ズボンの中に手を入れようとしたため、「生理中です」と伝えたところ離れることができたという。
物証はほとんどない。防犯カメラ映像はあったが、整骨院を出た時間が確認できるだけで、犯行の場面は映っていなかった。その日に着ていた服もすでに洗ってしまっていたという。
こうした状況の中で、証言をいかに積み上げるかが焦点だった。
●「最初からこの検事さんだったら」
大阪地検は2025年12月、院長を不同意わいせつ罪で起訴した。
「起訴してもらえると聞いたときは本当にホッとしました。これでやっと泣き寝入りしなくて済むんだと、喜びが一番でした」(母親)
一方で、割り切れない思いも残った。当初の容疑に含まれていた「致傷」が外されたことだ。PTSDとの因果関係の立証は、身体的なケガに比べてハードルが高いとされている。
被害者にとっては、心に負った深い傷が「致傷」と認められなかったことが気がかりだ。
被害女性は「最初からこの検事さんだったら、こんなに時間をかけずに済んだのに」と語り、一度目の不起訴によって生まれた空白の時間への悔しさをにじませた。

