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【東大阪】動物のみみとパエジャの湯気。布施に広がる異国の暮らし。【PasePase】

布施の町に、スペイン国旗が揺れている。スペイン料理店「PasePase」は、カウンター9席とテーブルひとつだけの小さな店。厨房に立つ店主・えりさんがつくるのは、旅先の名物料理ではなく、家庭のぬくもりを思わせる“ふだん着のスペインごはん”。動物のみみの姿は少し不思議。でも、この町に自然と溶け込んでいる。

商店街の裏通りで、少しだけスペイン

布施駅北に続くブランドーリ4番街。商店街の喧騒を少し抜けた路地に、スペイン国旗がゆれている。小さな光る看板には「PasePase」の文字。

扉を開けると、9つのカウンターと4人がけのテーブルがひとつ。
整えすぎない空気が心地よくて、知らない国のリビングに招かれたような気持ちになる。

カウンターの向こうに立つのは、えりさん。動物のみみをつけた姿はちょっと目を引くけれど、声は穏やかで、所作は丁寧だ。料理と一緒に、店の空気も彼女の手で整えられているようだった。

パエジャが炊けるまで、30分の旅

この店の看板メニューは、もちろん「パエジャ」。スペインを代表する、米料理だ。注文を受けてからひと鍋ずつ米から炊き上げるので、出てくるまでに30分ほどかかる。

でも、その待ち時間すら楽しい。

タパスをつまみながら、グラスを傾けて、パエジャ鍋の奥から立ち上がる香りを待つ。

パエジャは5種類の定番がある。「海の幸」には、エビ、アサリ、ムール貝、イカ、タコ。たっぷりの具材に、米が埋もれるほどの贅沢さ。

もうひとつ、特別なのが「イカすみ」。スペインを旅した前オーナーが出会い、心をつかまれたという一皿を、えりさんがそのまま引き継いだ。

真っ黒なごはんに、深いコクと旨み。裏メニューとして、知っている人にはアイオリソースを添えてくれる。にんにくの風味とクリーミーな味わいが、イカ墨とよく合う。

「マヨネーズも、実はスペイン料理なんですよ」そんなさりげない一言に、異国の料理が急に身近に感じられるから不思議だ。

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