距離のある接客が、ちょうどいい

えりさんはあまり多くを語らない。だけど、料理を出すタイミングや目線の運び方に、人への気配りがにじんでいる。
厨房と客席の間には、ふしぎなリズムがある。話す、笑う、待つ、飲む。そのすべてが、えりさんの手の動きと呼応しているようだった。

最初は少し緊張していた他のお客さんも、気づけば自分のペースでくつろいでいた。誰にも干渉されない心地よさ。だけど、まったく放っておかれるわけでもない。
その距離感が、この店の居心地をつくっている。
スペイン料理に導かれ、布施に根を張る
もともとフレンチやイタリアンを学び、料理の道を歩んできたえりさん。その途中で出会ったのが、兵庫県・武庫之荘のスペイン料理店だった。当初はスペインに特別な思い入れがあったわけではなかったけれど、気づけばその素朴で力強い料理に惹かれていた。

独立の場所に選んだのは布施。たまたまのご縁だったと言うけれど、いまではこの布施のまちの一角に、しっかりと居場所を築いている。
異国情緒を押しつけるでもなく、日本らしさを無理に消すわけでもないえりさんの料理は、パエジャ鍋の湯気が、少しずつ町に溶け込んでいくように、このに馴染んでいった。
