「これなら食べられる」を「これが食べたい!」へ。「やわらかcuisine」の考え方

――note創作大賞2025では「レタスクラブ賞」を受賞されました。受賞が決まった時のお気持ちはいかがでしたか?
美窪たえさん:最初はとにかく驚きましたし、率直にものすごく嬉しかったです。しかも、自分が尊敬する料理家、料理人の方々がたくさん活躍されているレタスクラブさんから賞をいただいたことに、その驚きと嬉しさが何十倍にも膨らみました。
受賞をきっかけに、「もっと皆さんの日常に寄り添いたい」という想いがより強くなりました。誰にとっても分かりやすく、お料理そのものにもっと興味を持っていただけるような、ワクワクするレシピをお届けしたいと思っています。
――note創作大賞2025で「レタスクラブ賞」を受賞された「やわらかcuisine(キュイジーヌ)」。改めて、どのようなコンセプトなのか教えていただけますか?
美窪たえさん:「やわらかcuisine」は、単に食感が柔らかいだけではなく、「今日もおいしく食べられてよかった」と、また次の食事が楽しみになるような食後感を大切にしています。毎日、そしてこれからもずっと食べ続けていける料理、というのが大きなテーマです。
私自身、若い頃には感じなかった食の悩みを、年齢を重ねるごとに少しずつ感じるようになりました。周りからも「脂っこいものやお肉が続くと胃もたれする」「硬いものが少し食べにくくなってきた」という声をよく耳にします。そんな変化の中でも、「毎日食べたい!」と思えるおいしさを追求しました。

――「やわらかい料理」というと、少し物足りないイメージを持つ方もいるかもしれませんね。
美窪たえさん:そうなんです。食べやすくするために細かく刻んだり、くたくたに煮込んだりするだけだと、どうしても「食べた!」という満足感が薄れてしまいがちですよね。でも、そこに「おいしさ」という感動があれば、心もお腹も満たされて「また次も食べたいな」と思えるはず。タンパク質などの栄養面もしっかり意識することで、自然とバランスが整って、日常の食卓にスッと溶け込むおいしさになると考えています。
――「やわらかcuisine」という考え方は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?
美窪たえさん:最初のきっかけは、実は私自身の「大腸検査」だったんです。病院で「検査の前日は、消化の良いやわらかい食事にしてください」と、食べてもいい食材が載ったプリントを渡されたんですね。それを見た瞬間、「これとこれを組み合わせれば、もっとおいしくなりそう」「こんな調理法なら楽しく食べられるはず!」と料理のイメージが浮かんできました。
そこから思考を広げていくと、世の中には「やわらかくてやさしい食事」を必要としている方がたくさんいらっしゃることに気づきました。たとえば、歯の治療中の方や大人の歯列矯正を始めたばかりの方。あるいは、年齢を重ねて少しずつ食事がしにくくなってきた方。そういった方々に向けて、制限を感じさせないメニューを提案したいと思ったのが始まりです。健康な方も、少し食に不安がある方も、家族みんなで同じ食卓を囲んで「おいしいね」と笑い合えるレシピ。そんな一皿があってもいいですよね。
お豆腐ドーン!のインパクトと驚きの食べやすさ「塩昆布とうめし」

――受賞作のひとつ「塩昆布とうめし」は、お豆腐がドーン!と乗った見た目のインパクトに驚きました。
美窪たえさん:見た目のインパクトはすごく大事にしているポイントなんです。「塩昆布とうめし」の場合、お豆腐を崩してしまったり、半分に切って出したりすると、どこか普通でワクワクしないので、あえて「1丁まるごと」お皿に乗せることにこだわりました。特別な材料でなく、「お豆腐」に「塩昆布」というみんなが知っているお馴染みの組み合わせだからこそ、「えっ、これ何?」「食べてみたい!」と思ってもらえるような、ちょっとした驚きを大切にしています。
「1丁は多いかな?」と思っても、見た目に反して意外とペロリといけちゃうんですよ。煮ることで程よく水分が抜けていますし、味がしっかり染み込んでいるので、食べ終わる頃には「もっと食べたかった!」なんて声もいただくほどなんです。

――これなら、お豆腐をたっぷり食べられて健康にも良さそうですね!
美窪たえさん:中には「塩昆布をたくさん使うから塩分が気になる」という方もいらっしゃいますが、煮汁をすべて飲み干すわけではありませんし、残った煮汁は旨みがたっぷり。次にご飯を炊くときに加えたり、煮物に使ったりと無駄なく活用できます。ベースの茶飯にも油揚げをプラスしてコクを出しているので、満足感もばっちりです。

