●政治家としての本音も「検察はやっぱり怖い」
──自民党の国会議員が「法務省案ではダメだ」とはねのければいいだけではないのでしょうか。
稲田議員:簡単ではありません。今の司法制度調査会長の鈴木さん(*)は、直近の法務大臣として法制審に諮問した方です。
自ら諮問して出てきた案を否定するのは、法務大臣経験者である鈴木さんの立場からすると気の毒だと思いますが、鈴木さん自身も法務省案を修正するように求めています。
それに、やっぱり、政治家にとって検察は怖い存在です。何も悪いことをしていなくても、検察からガサ入れされたらその途端に政治生命が終わります。だから、あの場で発言をためらう議員もいると思いますよ。
それでも、もうここまで来た以上は中途半端には終われない。袴田事件や福井事件、日野町事件など、問題が明らかになっているのに、なぜ冤罪被害者の救済にかくも長期間を要してしまったのかという立法事実に基づいた改正になっているのか。それを問わなければなりません。
(*)鈴木さん・・・自民党の鈴木馨祐・衆院議員。神奈川7区。前法務大臣。
●「世論の後押しが必要」
──検察官の抗告禁止のほかにも、証拠の全面開示など重大な論点があります。法務省は、結果的に不十分な妥協案に落ち着くことを狙っているのではないでしょうか。
稲田議員:検察側が証拠をしっかり出せば、もっと早く冤罪を正せた事案が多いわけで、極めて重要です。検察が保有するすべての証拠の一覧表が開示されれば、裁判所も弁護側も必要な証拠を請求できるようになります。
この問題は、国民の関心や世論の後押しも不可欠です。
──今後の戦略は。
稲田議員:法務省から立法事実に基づいた修正案が出てこない限り、声を上げ続けます。まずは議連や党内の方針をしっかり一致させて、仲間と連携して戦うつもりです。
できるかどうかではなく、政治家にしかできないことだと思っています。

