お酒を飲まないのにγ-GTPが高いのはなぜ?メディカルドック監修医が女性に多い非アルコール性脂肪肝や薬の影響、ホルモンバランスの関係等を解説します。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
肝機能を測る数値のひとつ、γ-GTP(ガンマGTP)とは?
まずは、γ-GTPについて基本的な内容を押さえておきましょう。
肝臓の解毒作用と「γ-GTP」の役割
γ-GTPは、肝臓でアルコールや薬の分解に関わる「グルタチオン」という物質のはたらきを助ける酵素です。
通常、血液中に漏れ出す量はわずかですが、肝臓や胆道に不調が生じると血中の濃度が上昇します。血液検査で簡単に測定できるため、肝機能を評価するうえで欠かせない重要な項目です。
血液検査における「γ-GTP」の基準値
一般的に、健康診断におけるγ-GTPの基準値は、50U/l以下とされています。
医療機関においては、検査する医療機関によって基準値は異なり、男性よりも女性の方が基準値を低く設定している医療機関もあります。
血液検査における「γ-GTP」の異常値・再検査基準と内容
血液検査でγ-GTPの異常を指摘されたら、消化器内科を受診して詳しい原因を調べる必要があります。
どのような検査を行うのか:再度の血液検査や腹部エコー検査(超音波検査)などを行うのが一般的です。
検査費用:血液検査の項目数や検査内容によって異なるため、医療機関に直接確認することをおすすめします。
どこで再検査・精密検査を依頼するのか:まずは消化器内科を受診しましょう。
再検査・精密検査の緊急度:自覚症状がなくても1ヶ月以内の受診が望ましいです。ただし、だるさや黄疸がある場合は直ちに受診してください。
再検査結果に応じた治療内容:生活習慣の改善(食事・運動)や、原因疾患に応じた薬物治療などが検討されます。
女性でお酒を飲まないのにγ-GTPが高い4つの原因
γ-GTPは、お酒を飲まない方でも上がるケースがあります。代表的な4つの原因を見ていきましょう。
薬やサプリメントの影響(薬剤性肝障害)
服用している薬やサプリメントが肝臓へ負担をかけ、肝機能に異常が出るのが「薬剤性肝障害」です。抗がん剤や抗真菌薬などだけでなく、市販を含めた解熱鎮痛薬や風邪薬、サプリメントなどでも現れるケースがあります。
健康維持を目的として摂取するサプリメントも、体質に合わなければ肝臓の炎症を引き起こす要因となります。数値の異常が見つかった際は、現在使用しているすべての薬やサプリメントを医師に伝えるようにしてください。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)という、肝炎ウイルスやアルコール性肝障害とは関係なく起こる肝臓病でもγ-GTPが上がることがあります。
多くの原因が、肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧などによる脂肪肝であるため、お酒を飲まなくてもなる可能性は十分に考えられます。
胆石や胆道系のトラブル
胆汁の通り道である胆道に多く含まれるγ-GTPは、胆石などで流れが滞ったり胆道にトラブルが起きたりすると上昇します。
右側肋骨の下あたりの重苦しい痛みや発熱、吐き気などがある場合は、胆石による急性胆嚢炎などを疑う必要があるかもしれません。
女性特有の疾患(更年期・PBC)
更年期以降の女性は、女性ホルモンが減少する影響で脂質代謝が変化し、肝機能に影響するケースがあります。
また、自身の免疫システムが誤って肝臓の胆管を攻撃してしまう原発性胆汁性胆管炎(PBC)という病気も、中高年の女性によく見られる疾患です。お酒を飲まない中高年女性がγ-GTPの異常を指摘された際、考えるべき疾患のひとつといえるでしょう。

