アルツハイマー病の脳内変化は30年前から始まる? 身近な「あの検査」で早期診断可能な未来も

アルツハイマー病の脳内変化は30年前から始まる? 身近な「あの検査」で早期診断可能な未来も

負担の少ない血液検査によるアルツハイマー病診断の未来

負担の少ない血液検査によるアルツハイマー病診断の未来

編集部

これまでアルツハイマー病はどのように診断されてきたのでしょうか?

山田先生

医師の診察と認知機能テストに加え、原因となるタンパク質を評価するために、髄液検査(腰のあたりから針を刺し、脳や脊髄の周りの液体を採取して調べる検査)やPET検査(陽電子放出断層撮影)などが用いられてきました。いずれも時間・費用・侵襲(痛みや負担)の面でハードルが高い検査です。

編集部

最近、血液検査でアルツハイマー病を診断できる時代が近いと聞きます。実際に進歩してきているのでしょうか?

山田先生

米食品医薬品局(FDA)は2025年5月16日、血液中のp-tau217とβ-アミロイド1-42という物質の比を用いた血液用体外診断用医薬品を承認し、低侵襲な方法でアルツハイマー病における脳の変化を捉える道が開けました。両者の比率は脳内のアミロイドプラークの有無と相関しており、この比を見ることでアルツハイマー病の診断補助ができる可能性が示されています。

編集部

今後、健康診断で認知症の血液検査が受けられるようになる可能性はありますか?

山田先生

現時点ではまだ、その段階には至っていません。FDAの承認も、本検査は単独のスクリーニング目的ではなく、物忘れなどの症状がある方に対して、診察や認知機能テストと組み合わせて行うという位置づけです。したがって現状は、症状のない人が自主的に受ける検査というより、診断をより正確にするための補助ツールといえます。ただし将来的には低侵襲検査としての普及に伴い、無症状の段階からリスクを把握し予防介入につなげるといった使い方も視野に入ってくる可能性があります。

アルツハイマー病は20〜30年間無症状? 長い助走期間が示す「予防の重要性」

編集部

アルツハイマー病は認知症状が表れる20〜30年前から始まるという話を耳にしますが、本当でしょうか?

山田先生

認知症発症の20〜30年前から脳内で変化が始まっていると考えられています。認知症の発症時点から巻き戻すと、アミロイドの蓄積が20〜30年前、Pタウの増加が25年前、脳萎縮が15年前から始まると考えられています。たとえば70歳で認知症を発症した場合、40歳代から脳内変化が始まっていた可能性があります。

編集部

不安になる事実ですが、見方を変えると「予防できる期間」が長いとも言えますね。

山田先生

おっしゃる通りです。現状はアルツハイマー病診断に使う場面が中心ですが、将来的にPタウを下げる介入方法が確立すれば、コレステロール値を測って心筋梗塞を予防するように、Pタウを測って将来の認知症リスクを下げるという予防医療の発想が現実味を帯びてきます。

配信元: Medical DOC

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