●骨折時の我が子の目が忘れられない
検察官は、腕の骨折に加えて、その後の頭部骨折についても重く指摘した。
被告人は、腕を骨折させた際の被害者の顔が「なんで、こんなことするの?」と訴えかけてくるようで、今も忘れられないという。
それでも、そのわずか2週間後に再び犯行に及んだ理由については、「保釈中も考えているのだが、わからない」と述べた。
裁判官は、被告人に過去を顧みさせた。被告人が怒りを向けるのは、妻や母、そして実子であり、男性である父にぶつけたことはないという。そういった内弁慶的な傾向を把握し、分析するよう強く促した。
また、泣き止まないことをきっかけとした犯行に、「なぜ、同じ目線を求めるのか」「わかってもらおうとするのが間違い」と、自分本位の視点を厳しく責めた。その語り口は、法律家というより、一人の人間としての進言のようであった。
●執行猶予判決の理由とは
判決は、拘禁刑3年、執行猶予5年。
裁判官は、起訴された2件以外にも継続的な暴行がうかがわれ、偶発的な犯行とはいえないと指摘。動機は身勝手であり、被害結果からも実父による事件としては相応に重い部類と厳しく非難した。
一方で、自身の特性を把握し、通院継続を予定している点や、公的支援が見込まれること、家族も実刑を望んでいないことなどを踏まえて「最良の家族関係が再建されることを願う」と執行猶予を付した。
被告人は涙を流しながら判決を聞いていた。その反省が、被害者の成長とともに続くことが問われている。

