●経験不足と業務のギャップ、支援は「ごく限定的」
判決によると、配属先の財務グループの業務は一定の困難性を伴うもので、研修を終えたばかりの男性にとっては、能力や経験との間にギャップがあったという。
しかし、職場からの支援や協力は「ごく限定的なもの」だったとされる。上司であるGMから具体的な役割が明確に指示されず、2018年5月下旬頃まで実質的な業務がほとんど与えられていない状態だったと指摘した。
裁判所は、このような「支援・協力が欠如した状態であること」が心理的負荷を強める要素になったと認定した。
●職場で相当の疎外感や無力感を味わった
上司のGMは、事前の指導がないまま「そんなこと書く?」などと感情に任せて言い放ったり、実質的に初めて任せた業務について「今作ってもしょうがないじゃん」などと強い口調で指導し、業務を取り上げたりしたとされる。
こうした対応により、男性は深い絶望感を抱き、職場で相当の疎外感や無力感を味わうことになったとしている。
その後、男性から相談を受けた会社側は、「GMと男性が直接2人きりで話さず、必ず先輩を交えた3人で話す」という対策をとったが、自らが怖がられていることを認識したGMは、男性との会話を極端に減らし、仕事上必要なことしか話さなくなっていた。
また、先輩社員もGMの不適切な言動に注意せず、男性の心身の異常(うつ状態の兆候)を感じていながら、組織に報告しなかったという。
裁判所は、GMの言動単独では明確なパワハラになるとまでは認定できないとしたが、会社側の事後対応が心理的負荷を助長するような不適切なものであったと判断した。

