●沖縄ならではの事情も影響か
加えて、沖縄特有の事情もあるという。
全国紙や通信社は沖縄にも拠点を持つが、記者の数は限られている。取材の重点も、県政や安全保障といったテーマに置かれがちで、事件事故を専属で追う体制が十分とは言えない場合が珍しくない。
地元紙を見れば、関連報道はそれなりに積み重ねられている。しかし、沖縄タイムスや琉球新報は電子版の記事の多くが有料で、ネット上で拡散しにくいという事情もある。
澤さんはさらに、ほとんどの全国紙で「地域面」が沖縄には存在しない点にも触れ、こう続ける。
「辺野古の事故はニュース性が高いのは確かです。ただ、沖縄は地元紙が強く、海上保安庁などの情報も地元紙が優位に立つ傾向にあります。住民も地元紙を読むため、全国紙が深く取材する動機が働きにくいメカニズムがあるのだと思います。
問題は、その中でどこまで報じるかです。マスコミが辺野古の事故を極端に軽視しているとまでは言えないでしょう。むしろ、今回の京都の事件は扱いが過剰だった可能性がある。
もし最初から『養父が逮捕された』という発表ベースで始まっていたら、ここまでの報道量にはならなかったのではないでしょうか」
ニュースに「適正な物差し」はない──その前提を踏まえつつも、今回のケースは今後の議論の材料になると指摘する。

●効果は絶大、メディア各社のフォームへの意見
もっと伝えるべき重要なニュースがあるのではないか。読者・視聴者だけでなく、報道の現場にいる記者や編集者たちもそんな疑問を抱いているとしたら、不幸だ。
では、こうした状況をどう受け止め、打開すればいいのか。
澤さんは、SNSへの書き込みにとどまらない行動を促す。
「SNSは同じ意見の人とつながるには適していますが、広く伝える手段としては限界があります」
そのうえで、マスコミ各社が設置している「ご意見フォーム」の活用を提案する。
「『こういうテーマを報じてほしい』と、ぜひ送ってみてください。罵倒やお説教ではなく、建設的な意見は必ず届きますし、現場の記者にとって大きな後押しになります。むしろ、そうした声を待っている記者は多いはずです。
今は、メディアと市民が双方向でつながる時代です。市民もまたエディターであり、プロデューサーでもある。互いにコミュニケーションを取りながら、より良い報道を形づくっていくことが大切です」

