ミャンマーの少数民族「ロヒンギャ」の男性と結婚し、自らもイスラム教へ改宗した日本人女性、聖子さん。迫害の歴史を背負う夫をそばで支えながら、難民認定を求める裁判を見守っている。彼女は何を思い、何を願っているのか。(ライター・織田朝日)
●「世界で最も迫害されている少数民族の一つ」
ロヒンギャは、主にミャンマー西部ラカイン州に居住してきたイスラム系の少数民族だ。
長年の民族対立や軍による弾圧、特に2017年のミャンマー国軍による大規模な「殺戮」により、110万人以上が隣国バングラデシュなどへ避難したとされる。
この問題は日本のメディアでも大きく報じられ、ロヒンギャは「世界で最も迫害されている少数民族の一つ」とも言われている。
聖子さんの夫であるミョー・チョー・チョーさんも迫害を受け、2006年に来日した。難民認定を申請をしているが、これまで3回とも不認定となり、入管施設での長期収容も2度経験した。
そんな中、日本で福祉の仕事をしている聖子さんと出会った。入管収容者への面会などのボランティア活動を共にする中で、二人は距離を縮めた。
ミョーさんの積極的で誠実なアプローチもあり、やがて結婚。昨年、多くの人に祝福される中で式を挙げた。
現在、ミャンマー情勢の悪化を受けた緊急避難措置として「特定活動(1年)」の在留資格が与えられているが、これは日本政府の判断次第で失われる可能性がある不安定なものだ。現時点で配偶者ビザも認められておらず、不安定な生活が続いている。
●「彼の人生にとって、とても大切な裁判です」

ミョーさんは現在、難民認定を求める裁判を起こしている。その傍聴に東京地裁を訪れた聖子さんは、支援者たちに向けてこう訴えた。
「ロヒンギャであるということがどういうことなのか。私も想像したりニュースを見たりしてきましたが、権力側から排除され、同じミャンマーの人々からも差別される。彼がどれだけ追い込まれているのか、どれだけ辛い思いで生きてきたのかを目の当たりにして、本当に辛いです。
この裁判で難民として認められることがどういう意味を持つか。日本でも、ミャンマーでも差別は続いていて、排外主義も強く、彼は何重にも苦しんでいる。これ(裁判の結果)だけが彼の人生を良くするわけではありませんが、一つの契機となります。尊厳の問題なんです。彼の人生にとって、とても大切な裁判です」

