●「一回ではないんだろうな」接待の始まり
事件の端緒は2023年2月。
元特任准教授から「元教授が腹を割って話したいと言っている」と連絡を受けて、東京・有楽町の高級フレンチ店で会食が開かれた。
「(元教授)から『長い時間、(共同研究の)講座を通すのに苦労した。危なかった』と延々と聞かされました。また、『最近の製薬会社はお金を出さん』とお金の話になり、慎重にご機嫌を取るようにしていました」
代表理事はそう振り返る。
さらに元教授は、過去に多くの接待を受けていたと語り、同席していた元特任准教授も「そういう時代を経験したことがなかったので行ってみたいです」と述べたという。
この日の会食費約14万円は、割り勘ではなく、代表理事が全額負担した。
「一回ではないんだろうなという、スムーズさがありました」

●「東大で教授の権限はすごいんだな」
事件の背景には、非対称な権力構造があったようだ。
元教授は東大医学部卒の医師で、国立大学教授などを経て東大附属病院副院長にまで昇りつめた。民間企業との共同研究講座の設置審査や人事にも影響力を持っていた。
部下の元特任准教授は、代表理事に「◯◯先生(元教授)の懐刀だ」と称するほど密接な関係にあったとされる。
弁護人から「元教授の権限についてどう思うか」と問われると、代表理事は、口ごもりながらもこう供述した。
「絶対的権力…東京大学の中で教授の権限はすごいんだなと思いました」

