「尿検査のpH」の異常で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「尿検査のpH」の異常から疑われる病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
糖尿病
糖尿病とは、血糖値が慢性的に高くなる病気で主にインスリンの分泌低下や作用不足によって起こります。1型と2型にタイプが分かれており、1型糖尿病は突然インスリンが作れなくなったことで発症するもので、根本的な原因が不明なこともあります。2型糖尿病は生活習慣の乱れから、インスリンの量が足りない状態、もしくはうまく作用できなくなることで発症することが多いです。糖尿病では糖分をうまくエネルギーに利用できない状態となっていることから、体はエネルギーを得るため脂肪を分解します。脂肪を分解する過程でケトン体と呼ばれる酸性物質が作られます。この酸性物質を尿中に排泄した結果、酸性尿となりやすいです。1型糖尿病の場合は、インスリン補充が治療の絶対条件になります。2型糖尿病の場合は、生活習慣の是正と内服治療でコントロールできる場合があります。どうしてもコントロールがつかない場合は2型でもインスリン投与を行うことも少なくありません。健診で空腹時血糖値やHbA1cが正常範囲より高い、尿検査で糖分が検出されたなどあれば、一般内科や内分泌内科の受診を考えましょう。自覚症状がない場合もありますが、のどの渇きが強い、食べているのに体重が減っている、尿の回数が多いなどの症状があるときは早めの受診を考えましょう。
痛風(高尿酸血症)
痛風とは、血液中の尿酸が増え(高尿酸血症)、関節に結晶として沈着し炎症を起こす病気です。代表的なものは足の親指の付け根が突然腫れて強い痛みがでるもので、痛風発作と呼ばれています。まさに「風が吹いただけでも痛い」という強い痛みがでます。尿酸は酸性の環境では溶けにくく、アルカリ性で溶けやすいという特徴があります。尿が酸性化しているときは、血液以外の場所も同様に酸性化しています。酸性化された関節液内では尿酸が結晶化しやすくなるため、痛風発作がより起こりやすくなります。予防法としては尿量を1日2L以上保つように飲水をすること、野菜・果物を多く摂取し尿をアルカリ化する、生活習慣の改善を行うなどです。発作が起きてしまった場合は、安静と鎮痛剤(NSAID)内服などが中心となります。発作が起こる前であれば自覚症状はありません。健診などで尿酸値が高いと指摘された場合は内科受診をしましょう。尿酸値が9.0mg/dLより高いようなら痛風のリスクが高まるといわれているので、早めに内科受診を考えましょう。痛風発作が起きてしまったときは内科か整形外科の受診をお勧めします。
尿路感染症
尿路感染症とは、尿の通り道(尿道・膀胱・腎臓)に細菌が感染する病気です。感染した部位によって腎盂腎炎や膀胱炎と呼ばれることもあります。女性に多く、疲労や脱水、排尿を我慢することなどがきっかけになります。おもな症状は排尿時の痛み、頻尿、残尿感です。腎盂腎炎まで悪化すると、発熱や腰痛などがみられることが多いです。Proteus mirabilisをはじめとするウレアーゼ産生菌が尿路に存在すると、尿中の尿素を分解してアンモニアを産生します。アルカリ性であるアンモニアが尿中に出てくるので、尿自体もアルカリ性になります。予防方法は、水分を多く摂取して尿を増やし細菌を流す、排尿を我慢しない、疲労を残さないなどです。排尿時の痛みや残尿感などの症状が出てくるようであれば、抗生物質を投与します。症状が一時的な違和感のみであれば、水分摂取などで様子を見ます。しかし数日症状が持続する、もしくは症状の悪化があるようなら内科か泌尿器科の受診を考えましょう。治療をして改善しても再度症状が出てくる場合は尿路に異常がある可能性があるため、内科ではなく泌尿器科の受診をおすすめします。
尿路結石
尿の成分(カルシウム、シュウ酸、尿酸など)が結晶化し、石のように固まった結石が尿路にできる病気を尿路結石といいます。突然の激しい背部痛、血尿、吐き気が代表的な症状です。発症の誘因は、水分不足、食生活の偏り、運動不足、尿路感染症などです。結石は種類ごとにできやすい尿pHがあります。酸性尿の環境でできやすい結石は尿酸結石とシスチン結石です。酸性の環境では、これらの成分が溶けにくく結晶化しやすいためです。一方アルカリ尿でできやすい結石は、リン酸カルシウム結石と感染結石が挙げられます。これらはアルカリの環境のほうが溶けにくい性質を持ちます。予防法は、水分摂取と尿pHのコントロールです。尿のpHが酸性・アルカリ性に大きく傾いているときは、それを是正するような食事バランスにすることです。尿路結石を発症しているときは強い痛みがある事が多いので、まず痛み止め(NSAID)を使います。内服と坐剤のどちらも使用できますが、発症時は嘔気もしばしばあること、薬効の吸収は坐剤のほうが速いことから、まず坐剤を用いる場合が多いです。また、その時の結石の場所と大きさで、自然排石が期待できるかどうかを確認します。破砕など結石に対して必要な処置が必要であれば、泌尿器科で処置を行うことが多いです。軽度の痛みや血尿があるときも泌尿器科を受診するようにしましょう。
腎疾患(腎不全・ネフローゼ症候群など)
腎臓は老廃物の排泄、水分・電解質の調整、酸塩基バランス(pH)の維持をするための調節を行っています。腎不全はネフローゼ症候群などが原因で、腎臓の働きが低下し、老廃物や酸が十分に排泄できなくなる状態のことです。高血圧や糖尿病などの生活習慣病や、慢性腎炎、年齢なども要因とされています。腎不全の特徴的な尿pHの値はありません。血液中のpHの調整ができなくなるので、酸性から正常範囲、アルカリ性まで幅広く変動します。腎不全の原因が生活習慣病からであれば、その管理が大切です。低下した腎機能が回復することは稀であり、なるべく腎臓に負担をかけないように塩分制限やたんぱく制限、水分を適量に摂取することなどを行います。浮腫が目立つようなら利尿剤などの投薬を行います。最終的に末期腎不全の状態になる場合には、透析療法が必要です。自覚症状が出にくい病気なので、症状がなくても健診で蛋白尿や血尿が出ている、血液検査でクレアチニンの数値が高いことがあるようなら、内科や腎臓内科を受診するようにしましょう。
尿検査のpHを改善する正しい対処法や過ごし方のポイント
食事のバランスを見直す
酸性尿になりやすい食品は、肉類、魚、卵、チーズ、白米・パン(精製穀物)などです。高たんぱくと精製炭水化物中心の食事では酸性に傾きやすくなります。この場合は、副菜として野菜を摂取するようにする、水分を多く摂取するなど、バランスの良い食事に整えましょう。アルカリ尿になりやすい食品は、野菜(特に葉物)、果物、海藻、きのこです。カリウムや有機酸(クエン酸)を多く含み、それらが代謝されるとアルカリとして働くためです。健康的な食事の人はアルカリ尿になりやすくなっています。そのため、多少の肉・魚・卵などの動物性たんぱくを摂取し、バランスをとるようにしましょう。
水分補給と生活習慣の改善
水分摂取により尿が多く作られることで、尿中の酸やアルカリも薄まるため偏りが是正されます。そのための水分摂取目安は1日1.5〜2.0Lとされ、尿がしっかり出ている状態を作ることが大事です。水分補給の工夫として、こまめに分けて飲む(1回量を200ml程度)、起床後や食間、運動後は特に意識して飲むようにする、寝る前は少なめにして夜間頻尿にならなくするなど工夫して行います。

