●冤罪を作った側が「救済のルール作り」を主導
“ホコリをかぶった法律”がようやく変わろうとしている中、「いまを逃せば、このチャンスは二度とない」と危機感を口にする専門家もいる。
2024年、超党派の国会議員連盟が再審制度の抜本見直しに着手すると、法務省・検察庁側も法改正が避けられないと悟ったのだろう。今度は法案作成の過程で「自分たちに都合のいいルール」を組み込もうと動き始めた。
これでは公正な議論になるはずがない。
再審法の見直しを担当する法務省刑事局には、検察庁からの出向組が多くいる。冤罪を生み出してきた側が、冤罪救済のルール作りを主導する──。それは、交通事故を起こした運転手が、道路交通法の改正案を考えるようなものだ。
無実なのに死刑が執行された人もいたのではないか。そんな見方も以前からささやかれている。法務省・検察庁の抵抗を目の当たりにすると、「不都合な事実を隠そうとしているのではないか」という疑念は確信に近づいていく。
●「抗告禁止」は入り口にすぎない
いま、自民党内で焦点となっているのが、再審開始決定に対する「検察官の抗告禁止」だ。 重要な論点ではある。だが、それだけでは冤罪被害者は救えない。
再審を求める側は、検察が持つ証拠の存在すら知ることができない。どんな武器があるかを知らされないまま、戦えと言われているのと同じだ。証拠の全面開示などが実現しなければ、抗告を禁じても戦いの土俵は変わらない。
法務省側が「抗告禁止」で譲歩したとしても、それはゴールではなく出発点だ。

