●時期ごとに時間がかかる場面
──逮捕や起訴から裁判が始まるまで時間がかかる事件では、一般的にどのような理由や事情が考えられるのか。
裁判まで時間がかかってしまう要因を、時系列に整理してみます。
(1)事件発生から逮捕まで
自傷行為などによって被疑者や被告人が負傷するケースは相当あり、ある程度のけがでとどまっていれば事件発生後すぐに逮捕できます。
他方で、本人の意識が戻っていないなど相当重傷の場合には、逮捕はせずに治療を行ったり、逮捕勾留後も勾留停止をしたりします。
逮捕まで時間がかかったケースとしては、京都アニメーション事件が有名です。
●起訴までに長時間かかるのは「鑑定留置」
(2)逮捕から起訴まで
複数人殺害しているケースや余罪があるケースなどでは、全ての捜査が終わってからまとめて起訴することも多く、逮捕から起訴まで時間を要します。
ただ、再逮捕・再勾留によって延びる期間は数カ月程度であり、一つの要因に過ぎません。
起訴までに最も時間がかかるのは、鑑定留置(起訴前鑑定)です。
いわゆる精神鑑定ですが、起訴後の鑑定とは異なり、事実上、捜査機関が鑑定人(正確には鑑定受託者と呼びます)を選んでいるため弁護人からはアクセスしにくく、また、証拠の開示も行われていないため、弁護人としては準備や検討のしようがなく、弁護人はほとんど「待ち」の状態になります。
検察官にとっても、捜査は続けてはいるものの、最終判断を鑑定留置が終わってからにせざるを得ず、鑑定留置の間は起訴不起訴の判断をしないことがほとんどであるため、検察官も「待ち」の状態になっていると思われます。
鑑定留置は、以前は延長に次ぐ延長と月単位で延ばされ、半年近くかかることもありましたが、近年では延長されることは減ったように思います。
ただ、それでも最低3カ月はかかりますし、事件によっては複数の鑑定が行われることもあります。
私のケースでも、逮捕から起訴までに1年以上を要したことがありました。

