●起訴後は「不可避の期間」と「鑑定の期間」に分かれる
(3)起訴から公判まで
裁判員対象事件であれば公判前整理手続が行われますが、ここでは手続のために不可避的にかかる期間と、鑑定期間に分けられます。
手続に不可避的にかかる期間というのは、証拠開示、証拠検討、主張整理の期間が主になります。
起訴時に弁護人は証拠の開示を受けていませんので、必要な証拠の開示を受けることが重要になります。
時系列でみると、主に以下のような時間がかかることになります。
【起訴から請求証拠まで】
まず、検察官が証明したい事実を整理し、立証に必要な証拠を開示します。
弁護人は証拠をもらえるわけではありませんので、コピー(謄写)をすることになりますが、この謄写にも相当な時間を要します。
通常、任意開示といって周辺の証拠も開示してくれますが、全体で相当なボリュームになり、そのコピーにも時間を要することになります。
【請求証拠から各種開示まで】
証拠の謄写を受けると、弁護人はそれらを検討し、さらに必要な証拠を開示するよう請求します。
最初から全ての証拠のコピーがもらえるならこの手間は要らないのでしょうが、現行法では「請求証拠や主張に関連する証拠を出してほしい」という開示請求をしなければならないため、証拠の検討→開示請求→新たに開示された証拠の謄写→さらに開示請求→・・・と時間を要することがあります。
なお、否認事件や争点が多い場合は、確認したい証拠が増えますので、どうしてもこの期間が長くなりがちです。
この不可避的な期間と並行し、あるいは一定程度中断して、鑑定を行う場合があります。
これは、起訴前の鑑定が不十分であったり、意見が割れていたりなど、さらに鑑定を行う必要がある場合に行われます。
これを50条鑑定と呼ぶことがありますが、超重大事件であれば、相当な確率で50条鑑定を行うことになります。
鑑定期間も月単位でかかりますが、双方の「鑑定すべき」「鑑定すべきではない」の意見の応酬もあり、さらには鑑定人にどのようなプレゼンをしてもらうかというカンファレンスやプレゼン資料を作成する期間などもありますので、鑑定にかかる期間は数カ月、時には1年程度かかるときもあります。
なお、今回の茨城県一家4人殺傷事件に特徴的なこととして、被告人は過去にも裁判員裁判を経験していることが挙げられます。
過去の事件の記録を取り寄せる必要がある場合もあり、これは裁判所を通じて行うことが多いです。時間が経過しているなどの理由で、取り寄せに時間がかかる場合があります。
●裁判の日程調整に難航することも
(4)公判前整理手続の終了から第1回公判まで
主張や証拠が整理されると、裁判をする日を決めていくわけですが、近年では裁判所が非常に混んでいるため、整理しながら裁判日程を仮押さえしていくという運用が一般化しています。事案によっては、起訴直後から仮押さえをされるケースもあります。
この日程調整が曲者で、重大事件であれば審理日数も多くなりますので、裁判体が一定期間空いていることや、検察官・弁護人の予定が一定期間空いていることが必要であり、時には法廷の空き具合などによっても先延ばしになることがあります。
夏季休廷の前後や年度終わりに重大事件が集中しがちなのは、こういった背景もあります。
なお、裁判員の呼び出しのためにも時間を置きますが、どの事件でもおおむね2カ月程度であり、重大事件だからといってこの期間が大きく延びることは少ないです。

