●「治療が必要かは医者が決めることなんで」
普段から、酒は生活の中心にあった。大量購入は「安心して飲むため」。仕事中にも「余計なことを考えなくて済む」として酒に手を伸ばすことがあったという。
それでも、被告人は断酒に消極的だった。
検察官:断酒する気はないの?
被告人:1回、飲まずにやれるかはやってみます。
検察官:治療をする気はないの?
被告人:必要かどうかは医者が決めることなんで。依存症と決めつけていいものか。
検察官:やめる努力をする気はあるの?
被告人:正しく飲める努力をします。やめる努力が正しいかがわからないので。
●本当に原因は「酒」だけだったのか
裁判官は最後、被告人に静かに問いかけた。
「いろいろと分析してるような印象もありますけど、どうしたらこういう問題を起こさないかをよく考えてもらえますか?」
飲酒で判断能力が落ちたことは間違いない。
だが、飲むタイミングを選び、事故後に隠蔽し、警察官に抵抗したのは、被告人自身の性格や思考でもある──そんな趣旨の問いかけだった。
被告人は頷いていた。ただ、その言葉がどこまで届いていたのかは、最後までよくわからなかった。
最終陳述で、被告人は被害者や関係者、母親への謝罪を述べたあと、こう締めくくった。
「今回の原因は酒が一番大きいと思うが、生活態度を改めて今後生きていきたい」

