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和田咲良の個展「□□」が六本木で開催。〈狼男〉を通して探る、自己と他者のあいだにある均衡

和田咲良「□□」和田咲良「□□」

〈狼男〉という、曖昧で両義的な存在

和田咲良は、絵画を軸にしながらも、布、刺繍、立体、映像、パフォーマンスなど、ジャンルを横断する制作を続けてきたアーティストです。その関心の根底にあるのは、作品と鑑賞者のあいだに生まれる一方通行の関係性への違和感です。

絵画は多くの場合、壁にかけられ、鑑賞者から「見られる」存在として展示されます。しかし和田は、その固定された関係を揺さぶるように、絵画に足をつけて自立させたり、表と裏の両面に描いたり、巨大な壁のような存在として立ち上げたりしてきました。

今回の個展で中心となる〈狼男〉は、人間でもあり、動物でもある存在です。理性と本能、日常と非日常、親しみやすさと恐ろしさ。そのどちらか一方に分類できない曖昧なあり方は、和田が見つめてきた「関係性の均衡」を象徴するモチーフといえるでしょう。

かわいらしくも不気味で、ユーモラスでありながらどこか緊張感をはらむ。和田の作品に漂う独特の空気は、私たちが他者と向き合うときの距離感や、コミュニケーションに潜む力関係を静かに浮かび上がらせます。

「main」と「dub」から広がる、表と裏の関係

photo by Kenji Takahashi ©Sakura Wada, Courtesy of Tomio Koyama Galleryphoto by Kenji Takahashi ©Sakura Wada, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

本展のキーワードとなるのは、「main」と「dub」です。

「main」は主となるもの、中心にあるものを指します。一方で「dub」は、音楽におけるリミックスや別バージョンを思わせる言葉です。そこには、ひとつの正解や本体だけではなく、裏側、反復、ずれ、複製といった複数の層が含まれています。

展覧会タイトルの「□□」もまた、2枚並んだキャンバスやフレーム、窓、実像と虚像といった複数の意味を内包する記号として示されています。シンプルな四角形でありながら、そこには見るものと見られるもの、こちら側と向こう側、表と裏といった関係が重ねられています。

特に注目したいのは、会場である「アートかビーフンか白厨」という場所そのものが、作品を構成する要素として扱われている点です。大きな窓や鏡、調理場、人々が食事をする気配。いわゆるホワイトキューブとは異なる生活感を帯びた空間が、作品と鑑賞者の関係を変化させる装置として立ち上がります。

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配信元: イロハニアート

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