●「自分のレベルに合った登山を」
──登山者が注意すべき点は。
「自分の力に見合った登山をする」。これに尽きます。
力量を超えた登山をすれば事故が起きやすい。特に富士山は、夏でも登山経験の少ない人が多く登り、転倒や滑落事故が絶えません。
しかも富士山は、5合目まで車で行けて、登山道も整備され、山小屋には医療設備もある。パトロールも頻繁です。
そうした環境が「簡単に登れる山」という勘違いを生んでいる面もあります。
特に外国人は、外国人向けのガイドブックで富士山は「hiking」として紹介されており、欧米では、短パンとTシャツが「hiking」の一般的なスタイルです。富士山登山が欧米の「hiking」とは異なる点が理解されにくいのです。
富士山では、観光客を含めた初心者が多く登っていますが、高度や気象などの点で危険性があり、それを経験のない人に「事故を起こさないよう自己責任で」と呼びかけても危険性を理解できないと思います。
だからこそ、危険性のある山は、それにふさわしくない登山者がアクセスしにくくすること、許可制など登山の手続きを煩雑にすること、入山者数を制限するなどの知恵を使うことが、現実的な事故防止策だと思われます。
【取材協力弁護士】
溝手 康史(みぞて・やすふみ)弁護士
弁護士。日本山岳サーチ・アンド・レスキュー研究機構、国立登山研修所専門調査委員会、日本山岳文化学会、日本ヒマラヤ協会等に所属。著書に、「登山者のための法律入門」(山と渓谷社)等。アクタシ峰(7016m)等に登頂。
事務所名:みぞて法律事務所
事務所URL:http://www5a.biglobe.ne.jp/~mizote/

