あえて取材しない理由
新米I 1作目は二代目のお坊さん。2作目は、卒論を出し損ねて留年し絶望にくれる大学生。今作では恋愛を焦る35歳女性。全く異なる人たちを、こんなにも解像度高く書けることに驚きました。
小野寺 自分でも不思議ですけど、もう女性を描くことに全く違和感を感じていないです。あとは無理しないようにもしています。例えば、僕が女性を描きたいからって、お化粧の仕方とかを調べるとかは、ちょっと違うなと思う。そういうことを無理に調べて描いて出しても、多分「そんなの男が知るわけないじゃん」と思われて終わりだと思います。
担当K 確かにそうですよね。異性を描こうとすると、何か言われがちになる。「いや、こんなのないよ」みたいに。
小野寺 そういうふうに思われちゃうのは分かるので、なるべく思われないようにしています。変に女性の女性的なところには踏み込まない、というふうに。
担当K 小野寺さんが描く女性って本当に違和感がない。『タクジョ!』でも、女性タクシードライバー特有の心配事などがすごくリアルに描かれていて。あれは、取材をされたんですか?
小野寺 一応女性タクシードライバーさんにはお会いはしてますけど、細かいことを聞いてるわけではないです。こういう、お仕事のことを調べなきゃいという時は取材をしますけど、逆にしなくていい取材はむしろしない方がいいと思っています。本当はもっと、僕の想像が許されていいところもあるのに、そのお店を取材しちゃったから、その人が言うことしか書けなくなっちゃうとかがあるので。自分で見極めることが大事だと思っています。
結末は後から決まった
新米I 洋が2人の男性を天秤にかけて選ぶシーンがありました。その決め手となった理由が面白かったです。弟・央の結末とも重なる部分がありましたが、その終着の仕方も決めていたんですか。
小野寺 最初は考えていなかったです。初めに洋が片方の男性をすぐに好きになっちゃうというのは思い付きました。だけど、最後はどうしようかなと。でも途中から考えているうちに「あれ、このもう一人の男、結構いいな」と思ってきて。そこから、洋の結末も決まり、最終のプロットが完成しました。
担当K 私、洋はあの結末ですごく良かったと思います。

