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全く異なる人たちを、どうしてこんなに解像度高く書けるんですか? 入社4ヶ月の新米編集者がインタビュー|小野寺史宜

全く異なる人たちを、どうしてこんなに解像度高く書けるんですか? 入社4ヶ月の新米編集者がインタビュー|小野寺史宜

名前がすぐに漢字で書かれることの違和感

新米I ちなみに、書き出しにもある姉・洋の名前。これは、吉田羊さんから洋にしたのか、それとも洋から、吉田羊さんのくだりを思いついたのか、どちらですか。

小野寺 洋を決めて、吉田羊さんのくだりを思いつきました。で、さらに、大泉洋さんも同じだなと気づいて書きました。

新米I 小野寺さんの作品は、名前の由来や呼び方をすごく丁寧書かれているなと感じます。

小野寺 これはインタビューの度に言いたいんですけど、僕、名前の漢字の説明を結構するんです。よく「こんなに名前の説明いる?」という感想をいただくこともあります。けど、これにはちゃんとした理由があって、それは、僕はほぼ全部“一人称で書いてるから”なんです。一人称で書いてると、例えば、キクチさんが初めて登場して、「キクチです」と言った時に、その一瞬で“菊地”か“菊池”か、分かるわけないじゃないですか。だから書けないんですよ。漢字で書いたら絶対おかしいんです。そこは著者権限で書いちゃってもいいはずなんだけど。でも、それはズルだなって僕は思ってるので。だから、“キクチさん”って聞いた時に、カタカナで書いてから、漢字の説明を本人にさせたり、漢字の何らかの説明があったっていうことで「菊池さんだそうだ」というふうに地の文で書いたりしてます。だから、名前の説明でわざわざもったいぶったりとか、かっこつけたりとかしてるわけではないんです。一人称だから、という理由がある。これはちょっと分かってほしいです。

担当K 一人称でいきなり漢字出てこないだろう、と。

小野寺 僕は小説を書く時に制約がある方が好きなんです。例えば。一晩の話とか、一つの場所の話とか。制約がある方が、むしろ書き方が決まってくるから。一人称も同じで、三人称にしちゃうと、結局何でもありになっちゃうじゃないですか。極端なこと言えば、ミステリーで、「犯人は山田さんだったわけですが」と急に言うことができてしまう。

担当K 小野寺さんは最初に本当にしっかりと視点を決めますよね。私は編集者になって最初に「まず視点を意識する」というふうに習ったから、視点がぶれたら良くない、というのはすごくあるんです。だから小野寺さんの作品は読んでいて本当に気持ちが良い。視点がきっぱりして絶対ブレないから。

“何も起きない”中で起きること

小野寺 小説はいろんなことができるんですよね。映像だと一人称ができないじゃないですか。内面は絶対映せないから。だから僕の小説が映像化しづらいのかなとも、ちょっと思っています。映像は基本出来事しか描けないですが、僕の小説ってほぼ何も起きないので。

新米I 小野寺さんの小説、何にも起きないのに、なんでこんな面白いんだろうと思います。

小野寺 僕の小説の感想「本当に大きなことは何も起こらない」というものが5割です。でも、小さいことはすごくいっぱい起きてるんです。

新米I 今回は、いろいろ小さいこと起こっている中で、一つちょっとした事件? が発生していましたね。

小野寺「片見里シリーズ」は僕の作品の中では動きが多いものだと思います。今回も何かは起こります!

新米I とても勉強になりました。ありがとうございました!

配信元: 幻冬舎plus

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