「最近、爪が食い込んで歩くのがつらい」と感じている場合、もしかしたら巻き爪が起きているかもしれません。巻き爪は誰にでも起こりうる身近なトラブルで、サイズの合わない靴や爪の切り方、歩き方などが原因で起こるといわれています。巻き爪を放置すると、痛みや炎症が悪化することもあり、早めの対策が大切です。この記事は、巻き爪の原因や予防法、痛みがあるときの対処法について解説します。

監修医師:
江崎 聖美(医師)
山梨大学卒業。昭和大学藤が丘病院形成外科、群馬県立小児医療センター形成外科、聖マリア病院形成外科、山梨県立中央病院形成外科などで経歴を積む。現在は昭和大学病院形成外科に勤務。日本乳房オンコプラスティックサージェリー学会実施医師。
巻き爪のメカニズム

どのような流れで爪が巻いてしまうのですか?
足の爪の形は、爪が内側に丸まろうとする力と、外部からの、爪を外に広げようとする力のバランスによって保たれています。爪自体には、もともと丸くなろうとする性質があります。歩く際に地面から受ける圧力が爪の下の硬い骨に加わり、爪が外側に押し広げられることで、なだらかなアーチ状を保っているのです。そのため、何らかの原因により、爪を外側に押し広げる力が不足すると、爪は内側に丸まるように変形し、結果として巻き爪を起こします。例えば、寝たきりや車椅子での生活、足の麻痺などで足指に体重がかからない場合や、足の痛み・変形などによって指をしっかり使えない状態では、爪に適切な力が加わりません。その結果、爪が徐々に巻いていくと考えられています。また、きつい靴などで爪が横方向から圧迫されることも原因と考えられています。
参照:
『陥入爪、巻き爪』(一般社団法人日本形成外科学会)
『足にかかる外力に起因する爪の変化』(日本フットケア・足病医学会誌3号3巻)
足の親指に巻き爪が多い理由を教えてください
巻き爪は、足のなかでも特に親指に多くみられます。これは、足の親指が歩行時の荷重や靴からの圧迫を受けやすい位置にあるためだと考えられています。歩行動作では、最後に親指で地面を蹴り出す動きがあり、その際に親指に強い圧力が集中します。この力は本来、爪を外側へ広げる働きをします。しかし、歩き方の癖や外反母趾(がいはんぼし)のような足の変形があると、力のかかり方に偏りが生じます。外反母趾とは、親指が小指側に曲がってしまう状態のことです。指への力のかかり方に偏りが生じると、爪が均等に広がらなくなり、内側に巻き込んでいくのです。
参照:『足にかかる外力に起因する爪の変化』(日本フットケア・足病医学会誌3号3巻)
日常生活に関係する巻き爪の原因

爪の切り方が原因で巻き爪になりますか?
爪の切り方によって巻き爪の原因になる場合があります。爪を短く切りすぎて深爪のような状態になると、爪の両端が皮膚に埋まり、歩くことで爪の両端が皮膚に押されやすくなります。その結果、爪は内側に巻くように変形するのです。
サイズの合わない靴が原因で巻き爪になることはありますか?
サイズの合わない靴も巻き爪の原因の一つです。特に、つま先が細い靴やサイズが小さい靴を履いていると、足の爪が横から圧迫されます。長時間の圧迫が続くと、爪が徐々に変形することがあります。
なお、サイズの大きすぎる靴も巻き爪を引き起こす可能性があります。靴の中で足が滑り、つま先で爪が圧迫されてしまうことがあるためです。
参照:『陥入爪・巻き爪』(一般社団法人日本創傷外科学会)
歩き方によって巻き爪になる可能性はありますか?
歩き方によって巻き爪になりやすくなる可能性があります。指を使わない浮き指の状態や、足の外側・内側にバランスが偏った状態で歩くと、歩行時に足の指への圧力がうまくかかりにくくなり、巻き爪になりやすいと考えられています。
また、ある研究では、親指にしっかり体重をかけるように歩き方を改善した結果、爪の形や足の変形が改善する可能性があると報告されています。このことからも、歩き方と巻き爪が深く関わっていることがわかります。
参照:『中高齢女性の巻き爪に対する歩行強制を施した歩行トレーニングの効果に関する研究』(日本臨床スポーツ医学会誌第27巻第2号)

