特養にすぐ入れない場合の選択肢

特養にすぐ入れない場合、一時的にほかの施設へ入所する場合があります。ここでは特養にすぐ入れなかった場合の施設について、それぞれの概要や注意点を解説します。
ショートステイの活用
特養にすぐ入所できない場合、ショートステイを連続的に利用する方法があります。ショートステイとは、特養や老健などの介護施設に短期間宿泊しながら、介護を受けるサービスです。
厚生労働省の調査によると、ショートステイを31日以上連続して利用している方の主な目的は、89.2%が特養入所までの待機場所としての利用でした。ただし、ショートステイは連続利用に一定の制限があり、30日を超えて継続する場合は一時帰宅とする対応が求められます。
利用方法によっては自己負担が増えることがあるため、詳しくはケアマネジャーや老健の相談員に相談してみましょう。
参照:『短期入所生活介護』(厚生労働省)
有料老人ホームやサ高住への一時入居
有料老人ホームやサ高住(サービス付き高齢者住宅)への一時入居も、選択肢の1つです。特養と比べて待機期間が短い傾向があり、状況によっては早期に入居が可能な場合があります。
特養への入所までの見通しが立ちにくい場合、一時的な生活の場として検討しておくと退所時に対応の幅が広がります。民間が運営するため、公的施設より費用が高額になることがあり注意が必要です。
特養の入所待ちの間に活用できる施設として、有料老人ホームやサ高住などの一時入居も考えておきましょう。
在宅介護へ戻る場合の注意点
在宅介護へ戻る場合は、自宅での生活に備えて環境や支援体制を整えておく必要があります。具体的には、下記のようなポイントを確認しておきましょう。
自宅内の移動手段(歩行もしくは車いすなど)
日中の見守り体制(介護者がいるか、何をして過ごすか)
自宅内の環境(段差や手すりの有無、トイレや浴室の安全性など)
利用する居宅サービス(訪問看護や通所リハビリテーションなど)
ご家族の介護負担を軽減するためには、介護サービスや福祉用具などの適切な利用が欠かせません。施設での過ごし方や介護上の注意点などを地域の居宅ケアマネジャーに引き継ぐことが、在宅生活に重要です。
ほかの介護施設の検討
特養や有料老人ホームのほかにも、検討できる介護施設があります。認知症がある場合はグループホーム、費用を抑えたい場合はケアハウス(軽費老人ホーム)などが選択肢です。
ただし、グループホームは要支援2以上で認知症の診断がある方が対象です。一方、ケアハウスは自立に近い状態の方から要介護の方までと、施設の種類や体制によって対応範囲が異なります。
ご本人の状態や介護の程度、費用面などを踏まえて施設を検討しましょう。
参照:『どんなサービスがあるの? – 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)』(厚生労働省)
老健退所前にやっておくべき準備

老健を退所する前にやっておくべき準備は、次の施設の詳細を調べたり、生活の見通しを立てたりすることです。
ケアマネジャーに早めに相談する
老健を退所したいと感じた場合や、ほかの施設へ入所したいと考えた場合は、担当のケアマネジャーや支援相談員へ早めに相談しましょう。身体機能や日常生活の状況、どのようなケアが必要なのかなどの情報を入所先の施設へ申し送る必要があるためです。
地域によっては、地域包括支援センターが窓口となる場合もあります。施設によって必要書類や受付窓口が異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
家族内で方針を整理しておく
家庭内で今後の生活の方針を整理しておくことも、行っておきたい準備の1つです。有事の際に意思決定を担う方を決めておくと、戸惑いや混乱を防げます。
具体的に検討しておきたい事項は、下記のようなものです。
金銭的な負担をどこから捻出するか
家族が面会しやすい立地に施設があるか
喀痰吸引や胃瘻造設が必要になった場合、どのように対応するか
将来的な看取りをどこで行うか
ご家族の間で共通の認識を持っておくと、有事の際にも落ち着いて対応しやすくなります。
費用と立地条件の優先順位を決める
次に費用と立地条件の優先順位を決めておきましょう。特養は公的施設で、所得に応じた負担限度額認定が適用されますが、立地がよい施設やユニット型の新しい施設は居住費が高額になる傾向です。
なお、2024年8月の法改正により、特養の居住費が1日あたり60円引き上げられています。
立地は、面会のしやすさや受診先の医療機関との連携、緊急時の駆けつけやすさなども考慮する必要があります。
優先順位は家庭ごとに異なるため、老健を退所する前にあらかじめ考えておきましょう。
参照:『令和6年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直しに係る周知への協力依頼』(厚生労働省)
見学と情報収集の進め方
施設を検討する際は、見学や情報収集を行いましょう。パンフレットやホームページの情報だけではわからない、実際の雰囲気を確認できるためです。
特に、下記のポイントを心がけておきましょう。
スタッフの挨拶や入居者への接し方が丁寧か
施設内は清潔に保たれているか
食事の内容がそれぞれの嚥下状態に配慮されているか
日中の過ごし方(離床や活動の様子)はどうか
体調が悪くなった場合の対応や医療機関との連携体制
施設の雰囲気を知るには、昼食の時間帯や日中の活動時間帯の見学がおすすめです。生活の様子をイメージできるよう、十分に情報収集をしておきましょう。

