新薬「セピアプテリン」の作用機序
日本で2009年に承認された飲み薬「サプロプテリン」は、効果が認められる患者さんが全体の2〜3割に限られていました。また、数年前に登場した注射薬は成人しか使えず、アナフィラキシー(全身に表れる強いアレルギー症状)の副作用リスクから、エピペン(アナフィラキシーの補助治療剤)を常備する必要があるなど、使い勝手に課題がありました。
セピアプテリンは、これらとは異なるアプローチで効果を発揮します。フェニルアラニンを分解する酵素(PAH)が働くには、「BH4」という補酵素(酵素を助けるビタミンのような物質)が必要です。従来のサプロプテリンはBH4そのものを補充するものでしたが、細胞内への吸収効率が悪いという欠点がありました。
対して、セピアプテリンはBH4の「前駆体(もとになる物質)」です。服用すると体内で効率よく細胞内に取り込まれ、そこで急速にBH4に変換されます。細胞内の補酵素濃度が高まり、本来は働きの弱かった分解酵素をサポートしてフェニルアラニンの代謝を促進します。
肉や魚をある程度自由に食べられるように
世界規模で行われた臨床試験(APHENITY試験)の結果、投与開始から14日間で、約66%の患者さんで血中フェニルアラニン値が30%以上低下しました。また従来のサプロプテリンで効果がなかった患者さんの約43%でも、十分な反応が見られました。
次に、セピアプテリン投与によって血中フェニルアラニン濃度が30%以上低下した人を対象に行われた無作為二重盲検比較試験では、偽薬(プラセボ)群が全く変化しなかったのに対し、セピアプテリン群は血中濃度が平均で約400µmol/L低下しました。
APHENITY延長試験では、薬の効果によって血中濃度が目標値(360µmol/L未満)内に収まった患者さんに対し、少しずつ食事のタンパク質を増やす試みが行われました。その結果、半年間の投与で、タンパク質の摂取量を平均して約2.2倍(28.5mg/kg/日→63.5mg/kg/日)まで増やすことができました。これは、肉や魚をある程度自由に食べられるようになる、大きな変化です。
安全性についても、主な副作用は下痢や頭痛、便の変色(オレンジ色)などで、重篤なものは報告されていません。

