時効を迎えた31年前の両親殺しを追う主人公たちと、現代の事件が並行して描かれる連続ドラマ「田鎖ブラザーズ」(TBS系、毎週金曜午後10時)。入り組んだストーリー展開と散りばめられた謎が考察班の意欲を掻き立て、毎週SNSは大盛り上がりだ。物語が中盤に入るなか、22日に放送された第6話で、流れが交わる新展開を迎えた。きっかけは、第5話(15日放送)で存在が明かされた「先生」と呼ばれる人物で、その素性や「目的」はまだベールに包まれている。終盤に向けたキーパーソンになる可能性は高く、その正体などをめぐり、SNSにさまざまなコメントが寄せられている。
「田鎖ブラザーズ」とは
連続ドラマ「アンナチュラル」「MIU404」「海に眠るダイヤモンド」(いずれもTBS)などで知られる新井順子氏がプロデューサーを務めるクライムサスペンス。2010年4月27日の殺人事件時効廃止のわずか2日前に両親殺害事件の時効を迎えてしまった田鎖真(岡田将生)と稔(染谷将太)の兄弟が、法では裁けない犯人を自らの手で裁くべく警察官となり、事件の真相を追い続ける姿を描く。
「犯人が捕まっていないなら、遺族も捕まってはいけない」
第5話で、神南国立大の理事長が不審死。一人息子が採点ミスで同大の入試で不合格となったことを恨み、薬殺した成田温子(中島ひろ子)に復讐を唆したと示唆されたのが、履歴の残らないコミュニケーションアプリ「テレシーク」で連絡をとっていた「先生」だ。第6話では、交通事故を偽装して西浦綾香(川﨑珠莉)を一酸化炭素中毒死させた宇野孝道(山本浩司)が、紘橋市福祉健康課の相談支援係・秦野小夜子(渡辺真起子)のもとに相談に訪れた。宇野は秦野を「先生」と呼び、青ざめた表情で手を震わせながら、「本当にこれでよかったんでしょうか?」と不安な心情を訴えた。秦野は落ち着き払い、「思い出してください。あの日のことを…。これでおあいこ、とんとんです」と“助言”。宇野の両手の甲に乗せた自身の手の平を静かに2度叩き、「とんとん、とんとん」と繰り返した。この動作は、第5話で成田が自身の手でしていた動きと酷似しており、成田が「先生」に送ったメッセージ「本当にこれで良かったんでしょうか?」も一致している。また、宇野を追っていた真は、秦野から事情を聴いた帰り、市役所内で成田の姿を目撃した。
宇野は3年前に交通事故で妻を亡くしており、過失が認められず不起訴となった加害者の西浦を恨んでいた。真は、秦野が、成田と同様に私怨を抱える者を復讐に誘導しているのではないかと疑い、宇野の悩みは解決したのかと彼女に尋ねた。秦野は「『話して何が変わる?』そう思ってます?」と切り出し、「でも、1人で抱え込むのは苦しくないですか? どうせ誰もわかってくれない、だから誰のことも信じない。そうやって自分の声にだけ従い続けていると、いつしか自分の根っこを隠すようになるんです。好きなことを嫌いだと思ったり、怖いのに平気なふりをしたり…例えば…身内にさえも。私はその根に花を咲かせる手伝いをしています」と答えた。その言葉は、両親を殺した人物への復讐心を抱えて生きてきた真の心に突き刺さった。
事件前の宇野の足取りを追う真が、近隣のボタニカルショップに防犯カメラの映像の提供を受けに出向くと、店の奥から秦野が姿を現した。付近に用事があったという秦野は、真の珍しい名字から両親を殺害された被害者遺族だと気づき、真が警察官になった理由について「それが正義感? それとも何か他の理由が?」と尋ねた。真は自分のことはいいと問いには答えず、防犯カメラの映像に目をやると偶然、宇野が店の前を通る姿が映っていた。秦野は真が店に来た目的を知っているかのように、「宇野さんは奥さんを事故で失いました。でも、運転していた西浦さんは、悪いのは奥さんのほうだと、自分の非を最後まで認めませんでした。人を殺したのに罪には問われなかったんです。その後、西浦さんは、彼氏に支えられ、社会に戻り始めて、そしてまた…車に乗りました。すべてが元どおりになる。宇野さんの奥さんだけを消して」と宇野の思いを代弁。そして宇野と真の境遇を重ね「忘れられてく遺族の痛み、わかりますよね。もう1人で抱え込むのやめませんか? あなたの心の根っこ、聞かせてください。きょう6時、市役所で待ってますね」と呼びかけた。
真は宇野が映っていたことをバディの宮藤詩織(中条あやみ)に伝えず、後の捜査を任せて離脱。そして午後6時、吸い込まれるように市役所に足を運んだ真のスマホに、稔からの着信が入り、ようやく我に返った真は仕事に戻ろうとするが、背後から「来てくれると思ってました」と秦野の声がした。真はとっさに「俺は別に宇野を…」と弁明しかけるが、秦野は「建前はいらない。正論は何の解決にもならない。でしょ?」と制し、相談室に案内。ここではなくも隠さなくていいとし、両親が殺された後の経緯を聞き出した。親戚の家に引き取られた真は、警察が犯人を捕まえてくれると期待して待っていたが、捜査員が足を運ぶ回数は徐々に減り、周りが両親を忘れていくのが怖かったと、抱え込んできたつらい思いを初めて明かし、あと2日事件発生が遅ければ、時効に縛られずに犯人を逮捕できたと悔しがった。秦野は、真の心が事件に閉じ込められたままだと寄り添い、もし事件がなければ今頃は何をしていたかと質問。真は、父・朔太郎(和田正人)のように物づくりの仕事に就きたかったと涙ながらに吐露した。
どうしたら解決できると思うかと聞かれた真が答えに躊躇(ちゅうちょ)していると、秦野は彼の手に自身の手を重ね「ここで正論は要らない」。犯人が捕まって、裁判を終え、刑罰を全うしたとしても、遺族は何も変わらない、なぜ遺族だけが苦しみ続けなければならないのか、被害者と加害者の受ける痛みは「おあいこ」であるべきだと主張した。そして「犯人が捕まっていないなら、遺族も捕まってはいけない。とんとんです、とんとん」と語りかけて、宇野にしたのと同じように、真の手の甲をを静かに2度叩いた。

