「渋谷は本屋を切り捨ててファストファッションの街になった。文化を必要とする人が集まらなくなった。」——。27日、渋谷の書店の相次ぐ閉店を惜しむ投稿がXで広まった。発端となったのは、渋谷の書店環境の変化に対する問題提起だ。2024年開業のサクラステージにあるTSUTAYA BOOKSTOREを除けば、ブックファーストの閉店や大盛堂の売り場縮小など、大型書店の苦境が続いてきた渋谷に対し、SNSでは「本屋がない街は信用できない」という言葉が飛び交った。
この感覚は単なる個人の感傷にとどまらず、衝撃的な二つの統計データによっても裏付けられている。一般社団法人日本出版インフラセンターの統計によると、2025年度の全国の書店数は9,993店となり、1998年度のピークから59%以上減少して初めて1万店を割り込んだ。また、出版科学研究所の推計では、1996年に2兆6,564億円だった出版販売額が2024年には1兆5,716億円まで縮小。渋谷の変貌は、こうした数字が長年積み上げてきた構造変化が表面化した事象の一つと言える。
「見た目の立派さだけでスカスカな街」
文化の象徴だった街の激変に、Xでは多くのユーザーが反応を示した。SNSには、
「本屋のある街が文化的に高いのは反対はしない。でも本屋が減ったメインの理由は読書量が減ったからではない。ネットで本を買ったり、電子書籍を買ったりするようになった結果本屋に行かなくなったからだ」
「渋谷に本屋が消えた理由は、単純に都内で最も再開発が激しすぎるので、テナントで入ってた本屋の建物自体が壊されて、それぞれ建設中だから」
「元書店員として感じるのは、文化の問題より固定費の問題の方が大きいのではないかなぁと」
「渋谷には渋谷の文化があり、それを信用しないというならそれは自由でしょうね」
と、冷静な指摘が上がった一方で、同調するユーザーも多かった。
「世の中の書籍への需要そのものが大きく縮小したので、『主要駅のある街には必ず大きな書店がある』社会は終わってしまったのですね。昔なら主要駅どころかどんな小さな駅の近くにも必ず書店があったのですが」
「本屋だけでなくミニシアターもほぼ無くなって渋谷の魅力は半減しました。街のデザインは経済、人流の観点からしか考えられていないので、見た目の立派さだけでスカスカな街に成りつつあります」
「八重洲ブックセンターは首都の書店として「無いものは無い」と言う絶対感が僕にはあって。街に色んなカルチャァが溢れるのも、そこに書店と言う文化の原型がそびえ立っているから、が僕の持論。ご意見に禿同」
「人文系は特に、『渋谷はもう本を売る町ではなくなった』という意見が殆ど。今の渋谷は、IPで売る町ってのが今の印象」
書店数はピーク比59%減
一般社団法人日本出版インフラセンターが2026年3月31日付で公開した「年度別書店数推移」によると、書店数の推移は以下の通りだ。
1994年度に21,154店だった書店数は増加を続け、1998年度に2万4,237店のピークに達した。その後は右肩下がりが続き、2003年度には20,880店と2万店台を割り込んだ。2003年度以降の閉店数は毎年新規出店数を上回り、最も閉店が多かった2005年度には1,880店が閉まった。2010年代以降は新規出店が年間200店を切る年が続き、2024年度には57店と過去最低水準まで落ち込んだ。
そして2025年度に9,993店と、初めて1万店を下回った。1998年度のピークと比べると14,244店減、率にして約59%の減少だ。
「20年前は一駅に一書店ある感覚でしたが、今では地方都市でも書店は絶滅危惧種 新聞もネットだし文章を読む機会がなくなって想像力も視覚化の方面ばかり強調されそうで、バランス悪い」
「立川と国立は本屋さんたくさんで発展性もあって希望を感じます 立川は、街も若者いっぱいで勢いを感じましたー」
「前橋市に行ったら紀伊国屋本店みたいな書店があってびっくり。煥乎堂」
「大宮駅はジュンク堂、三省堂、アニメイト、らしんばん、スルガ屋その他がまだあります市内は図書館も多いし、まだ本読みにはいい街」
「那覇のダイエーぶち抜きした日本最大級のジュンク堂ありまして」
渋谷の書店消失は全国的な縮小の中で際立ったケースだ。「ジュンク堂には良く行くけど、オリオン書房にはたまに行く感じ。映画館も立川シネマシティに、キノシネマもあるから結構文化的な街だわねー」という投稿が示すように、書店は単独ではなく映画館・ミニシアター・劇場といった文化施設と共存しやすいという観察も上がった。

