高血糖や初期症状を放置すると起こる深刻な症状表れる症状は?
編集部
初期症状を放置して高血糖が続くと、どのようなことが起こるのでしょうか?
舛森先生
糖尿病になって数年以上経ってから出てくる症状として、まずは「目の症状」があります。血管の中に糖がたくさんあると、活性酸素が発生して血管の内皮細胞にダメージを与えます。イメージとしては、「血管の中にザラメが大量にあって、血管の壁を傷つけているような状態」です。
細かい血管から障害されるため、目が見えづらくなったり、白い壁を見たときに蚊のような黒いゴミが浮かんで見える「飛蚊症(ひぶんしょう)」が出現します。発見が遅れると視力が戻らなくなるので、私は糖尿病と診断した人には必ず眼科を受診してもらっています。
また、5〜10年経過後に神経障害も出現することがあります。糖尿病の神経障害では「手袋靴下型」と言って、両手足の先から対称にしびれや痛みが出ます。感覚が鈍くなるため、靴擦れや火傷などのけがに気づきにくくなります。傷口からばい菌が感染すると重症化しやすいので、足の傷には常に気をつけてください。
編集部
糖尿病が極限まで進行すると、太るのではなく逆に痩せてしまうと聞きました。
舛森先生
そのとおりです。糖尿病=太ると思われがちですが、進行してインスリンがまったく出なくなると、糖分をエネルギーに変換できなくなります。すると体は、生きていくために自らの筋肉や脂肪を分解してエネルギーに変えようとするため、みるみる体重が減っていくのです。
患者さんの死因第1位!? 糖尿病とがんの密接な関係
編集部
糖尿病の人は動脈硬化や心筋梗塞のリスクが高いイメージですが、実はがんのリスクも上がるというのは本当ですか?
舛森先生
非常に重要なポイントです。実は、糖尿病の人の死因第1位は悪性腫瘍(がん)で、肝臓がんのリスクが1.96倍、膵臓がんが1.85倍、大腸がんが1.4倍になるほか、子宮がんや乳がんのリスクも上昇すると報告されています。
編集部
なぜ糖尿病でがんのリスクが上がるのでしょうか。
舛森先生
糖尿病になるとインスリンが効きづらくなり、体は「もっと出さなきゃ!」と、血中インスリンが異常に高い「高インスリン血症」という状態を維持しようとします。自前のインスリンが出すぎている状態が、がんの成長を促進すると考えられています。
編集部
がんを早期発見するにはどうすればいいでしょうか?
舛森先生
必ず「がん検診」を受けてください。国が推奨している対策型がん検診(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮がん)は定期的に受けるべきです。
また、食事も変えていないのに急激に血糖値が上がり始めたときは要注意です。インスリンを出す臓器・膵臓にがんができている可能性があります。膵臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、がんになっても初期症状が出にくいので、急激な血糖値上昇、体重減少、背中の痛みなどがあれば、エコーやMRI、造影CTなどの検査を受けてください。
【知っておきたい最新情報】
糖尿病とがんの研究で詳細なリスクが明らかに
2024年の海外の大規模な研究から、糖尿病のがんリスクがより詳しく分かってきました。特に肝臓がんは約3倍、膵臓がんは約2倍と、リスクが高いことが改めて示されています。また、がんになった場合の回復にも支障をきたすことが報告されています。
糖尿病と診断されたら動脈硬化のケアだけでなく、肝臓・膵臓・大腸を中心にがん検診を定期的に受けることが大切です。

