治療を続けることが、長期的に最も医療費を抑える
費用面を理由に通院や服薬を中断してしまう方が一定数いますが、これは健康面だけでなく、経済的な観点からも大きなリスクです。糖尿病は、治療を中断して合併症が進行すると、入院や手術、透析などで一気に医療費が高額になる可能性があります。血糖コントロールが乱れた状態が続くと、3大合併症(網膜症・腎症・神経障害)をはじめとする深刻な合併症につながり、その治療費は外来管理の費用とは比較にならない水準になります。
合併症主な治療内容費用の目安
糖尿病性腎症(透析期)人工透析(週2〜3回)月10,000〜20,000円(特定疾病制度適用後)
糖尿病性網膜症レーザー治療・硝子体注射数万〜十数万円/回
心筋梗塞・脳梗塞入院・手術・リハビリ数十〜数百万円規模(高額療養費前)
足壊疽による切断手術・入院・義肢数十万〜百万円以上
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
特に糖尿病性腎症は、透析に至ると週複数回の通院が生涯続き、仕事や日常生活への影響も甚大です。透析患者の年間医療費は500〜600万円規模とも言われており、特定疾病制度で自己負担は軽減されるものの、日常生活の制約は大きく変わりません。
一方、血糖コントロールを良好に保つことで合併症の発症・進行を大幅に抑えられることは、多くの臨床研究で示されています。月数千円の通院費を継続することが、長期的には最も医療費を抑え、生活の質を守ることにつながります。「少し血糖が高いだけだから大丈夫」という状態のうちこそ、治療を継続することが重要です。
編集部まとめ
2型糖尿病の外来治療費は、血糖コントロールが安定している初期(飲み薬中心)の場合で、月4,000〜10,000円程度(3割負担)が一つの目安です。一方で、重症化して注射治療や自己測定が必要になると、月20,000〜40,000円程度まで増加することもあります。以下に要点をまとめます。
初期では月4,000〜10,000円程度、重症化すると月20,000〜40,000円程度まで医療費が増加する
ジェネリック医薬品の活用・通院間隔の調整・生活習慣の改善により、長期的な医療費の負担を抑えることができる
高額療養費制度・医療費控除・特定疾病療養受療証などの公的制度を活用すれば自己負担を軽減できる
合併症が進行すると治療費は急増し、生活の質にも大きな影響が出る
費用面の不安は、医療ソーシャルワーカーへの相談で解決できることが多い
糖尿病と診断されたら、「いくらかかるのか分からないから不安」と考えるのではなく、「毎月いくらくらいかかるのか」「使える制度はあるのか」を主治医や医療ソーシャルワーカーに早めに確認することが大切です。費用の見通しが立つだけでも、治療は続けやすくなります。
※本記事の情報は2026年4月時点のものです。医療費・公的制度の内容は変更される場合があります。個別の費用・制度については、受診先の医療機関または各種窓口にご確認ください。

