検察は不起訴の理由を明らかにしていない──。
事件報道で、こんな一文を目にしたことはないだろうか。
逮捕や書類送検の際には大きく報じられたのに、その後に不起訴となっても、なぜ起訴されなかったのかはわからない。しかし、「嫌疑なし」か「起訴猶予」かで、意味は大きく異なる。
そんな中、最高検察庁は昨年12月、不起訴理由の公表を積極的に検討するよう全国の検察庁に指示した。あれから半年。検察の運用は本当に変わったのだろうか。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●同じ「不起訴」でも意味は大きく異なる
最高検察庁は2025年12月3日、「公益上の必要性の程度および公表による弊害の程度等を考慮し、相当と認められる場合には、裁定主文を公表する」との方針を示した。
簡単にいえば、「裁定主文」とは不起訴処分の類型を示すものだ。本人の反省や示談の成立などを考慮して起訴を見送る「起訴猶予」、証拠が十分でない「嫌疑不十分」、犯人ではないことが明らかな「嫌疑なし」がある。
これらは同じ不起訴でも意味が大きく異なる。
たとえば起訴猶予は、被疑事実自体は認められたというメッセージにもなりうる一方、嫌疑なしは事実上の無実を意味する。
それにもかかわらず、不起訴の理由が説明されなければ、逮捕や書類送検時に実名報道された人の名誉回復につながらず、捜査機関に対する不信を招く可能性もある。
最高検は昨年12月に発表した文書で、公表できない場合でも「一定の説明や明らかにできない理由の説明を行う」と明記している。
●有名人でも「明らかにしない」ケースは続く
この半年間の報道を見ると、対応はまちまちだ。
俳優の広末涼子さんが搬送先の病院で看護師にケガを負わせたとして現行犯逮捕された事件では、静岡地検が不起訴とした際、「起訴猶予」であることを公表した。
朝日新聞によると、静岡地検は「事案の軽重や犯行後の状況を含めた関係証拠の内容を踏まえた」と説明したという。
一方で、不起訴となっても理由を明らかにしないケースは少なくない。
麻薬取締法違反などの疑いで書類送検された俳優の米倉涼子さんについて、東京地検は今年1月に不起訴としたが、その理由は明らかにしなかったようだ。

