“反社と関わり”内田被告と事件関係者の出会い
旭川市の内田梨瑚被告23歳。事件当時は21歳で、母親と同じ会社で化粧品販売員として働いていた。高校卒業後、反社会的勢力の人と関わるようになり、彼らとの連絡用のいわゆる“飛ばし携帯”を持ち歩いていた。
内田被告とともに事件に関わったのは、当時19歳の女、当時16歳の少年少女の合わせて3人。
共犯の当時19歳の女と内田被告の出会いは事件の数年前。その後は疎遠が続いたが、事件直前の2024年3月末~4月上旬ごろに再会し、親しくなった。事件の数日前に、女がインスタグラムのストーリーに「何か仕事ありませんか?」と投稿したところ複数人から反応があり、内田被告から「梨瑚の舎弟」とメッセージがあったことをきっかけに、内田被告が女のLINEの登録名を「舎弟」とした。当時19歳の女は、「殺人」、「不同意わいせつ致死」、「監禁」の罪で、去年行われた裁判員裁判で、懲役23年の有罪判決が下され、既に受刑中だ。
また、ともに「監禁」に関わった当時16歳の少年と少女は、監禁の容疑で家庭裁判所に送られたのち、少年は少年院送致され保護処分となり、少女は保護観察処分とされた。
少年は、事件直前の4月上旬~中旬ごろに内田被告と出会い、当時19歳の女とともに内田被告と複数回会っていた。少女も同じく事件直前の4月上旬ごろに出会い、内田被告とは共通の知人とともに食事をしたことがあった程度の関係だった。

「私に殺意はありませんでしたし、橋から落下させていません」約1年ぶりに法廷に立った内田被告
5月25日午前8時すぎ、旭川地裁の前には、一般傍聴席を求めて、23席に対し313人が行列を作った。
午前10時すぎ、高倍率の一般傍聴席を手に入れた一般の人が続々と廷内の傍聴席へと入っていく。当時19歳の共犯の女の裁判員裁判を傍聴してからおよそ1年。当時証人として出廷し、宣誓を拒否して証言しなかった内田被告が、自身の裁判で何を語るのか。私も緊張した気持ちを抱えながら、傍聴席に腰をおろした。
午前10時25分ごろ、傍聴席の左手にある扉から、白いYシャツ姿で黒髪を後ろでひとまとめにしマスクをつけた内田被告が入廷した。廷内の視線が集中する。内田被告は腰から90度に上半身を曲げ、深々と頭を下げて3秒ほどおじぎをし、弁護人2人の隣に着席した。
内田被告は無表情でじっと一点を見つめ、ゆっくりとまばたきを繰り返し、落ち着いている印象だ。
傍聴席には、亡くなったAさんの遺族や、内田被告の母親がいた。Aさんの母親とみられる女性が、Aさんの写真が入った写真たてを両手で握りしめていた。
午前10時半、内田被告の裁判員裁判が開廷した。
裁判長から証言台に立つよう促されると、内田被告はマスクを取って立ち上がり、証言台の手前で立ち止まると、口元を硬く結んだ表情で傍聴席の遺族に向かい、深くゆっくりと頭を下げ、証言台に立った。遺族は内田被告をじっと見つめていた。

【裁判長】名前は?
【内田被告】内田梨瑚です。
内田被告の第一声を聞いて驚いた。1年前、当時19歳の共犯の女の裁判で、証人として出廷したときに比べ、声が小さく、印象がまるで違った。
手続きが終わると、検察官がはじめに起訴状を読み上げる。内田被告の表情は、前を向いているので見えないが、ゆっくりと大きく肩が上下していて、深く呼吸をしながら聞いている様子だった。
【裁判長】今読み上げられた起訴状の内容を聞いて、何か言っておきたいことはありますか?
【内田被告】私に殺意はありませんでしたし、橋から落下させていません。その他は弁護人にお任せします。
内田被告の弁護人は、「殺人」について、殺意がなく殺害の行為はなかったと主張。さらに「不同意わいせつ致死」については、不同意わいせつは認めるものの、死亡したこととの因果関係がないとし、「監禁」についてはおおむね認めるが、監禁が開始した時点に違いがあるとした。
一方で、検察側は、内田被告が橋から突き落としていないとしても、女子高校生が橋から転落したことがそれまでの内田被告らの言動のせいであり、実質的に内田被告らが女子高校生を橋から転落させたと評価できるのであれば、殺人罪の実行行為と言えると主張した。

