廷内に響くAさんが助けを求める悲痛な音声 表情を変えない内田被告
裁判では、証拠として、内田被告や共犯の当時19歳の女が撮影したAさんの動画や、現場の一つであるコンビニエンスストアの防犯カメラ映像などが公開されている。
裁判員らには映像を見せ、傍聴席には映像は見えないが音声は聞こえる状況だ。
初公判の5月25日には、2本の映像が流された。
1つ目は、旭川市内の小学校の駐車場で、アスファルトの上で土下座をさせられ謝罪するAさんの様子を撮影した15秒の動画。「無断でストーリーの写真と、あと、舐めた態度を取ったので、すみませんでした」というAさんの声が聞こえた。弁護人の隣に座る内田被告には、傍聴席と同じくその音声が聞こえているが、一点を見つめたまま、表情は変わらない。
2つ目は、コンビニエンスストアの店内外を映した複数の防犯カメラ映像で、店内のトイレから出てきたAさんがレジへと走り、店員に助けを求め、内田被告や当時19歳の共犯の女によって店外へ引きずり出される場面だ。
Aさんがレジへと走っているとみられる“バタバタ”という足音のあとに、「通報してください!」というAさんの声が聞こえ、その後は内田被告らの怒鳴るような「やめれやお前」、「立てや!」、「お前が悪いんだろ!」などの声が廷内に響き渡る。
当時19歳の女の裁判でも同じ場面の映像が流されたが、何度聞いても胸が締め付けられる。傍聴席の遺族は涙をこらえながらすすり泣いていた。Aさんが必死に助けを求めようとして阻まれるこの場面の音声は、記者である私の心にも深く残り続けているのだから、Aさんの遺族の思いを想像すると、その苦しさは計り知れない。
一方で、内田被告はそのような悲痛な音声を聞いても、全く表情が変わらず、手元の資料を見ている様子だった。
対立する主張「梨瑚さんが被害者の子の肩甲骨のあたりを両手のひらで押しました」共犯の女が語った最後の瞬間

裁判3日目の5月27日、証人として出廷したのは受刑中の当時19歳の女。
弁護人の隣に座る内田被告と、証言台に座る女との間には衝立が設置され、互いに顔が見えない状況で、証人尋問が行われた。
【当時19歳の女】梨瑚さんが「欄干の外に立て」と言いました。
【検察官】Aさんはどうしましたか?
【当時19歳の女】手すりに、川の方を向いて座りました。
【検察官】被告人は何と言いましたか?
【当時19歳の女】「手伝って」と言いました。
【検察官】あなたは何をしましたか?
【当時19歳の女】梨瑚さんが被害者の子の右側から、右の二の腕と腰のあたりを押していたので、私も被害者の子の左側から、左の二の腕と腰のあたりを押しました」
【検察官】それでどうなりましたか?
【当時19歳の女】欄干の外に立ちました。
【検察官】Aさんの両手はどうなっていましたか?
【当時19歳の女】腕を左右に広げて、欄干の一番上を掴んでいました。
【検察官】被告人はどうしましたか?
【当時19歳の女】「早く落ちろ。自分で死ねや」と怒鳴っていました。
【検察官】あなたは何か言いましたか?
【当時19歳の女】「落ちろや」と怒鳴りました。
【検察官】あなたはそれを何回言いましたか?
【当時19歳の女】はっきりとは覚えていませんが、少なくとも20回以上は言っていたと思います。

【検察官】そのように言われたAさんはどうしましたか?
【当時19歳の女】1回だけ大きく深呼吸をして、上体を前に倒しました。
【検察官】被告人はどうしましたか?
【当時19歳の女】梨瑚さんは、被害者の子の肩甲骨のあたりを両手のひらで押しました。
【検察官】Aさんはどうなりましたか?
【当時19歳の女】私の目の前から一瞬で消えました。
【検察官】あなたはどうしましたか?
【当時19歳の女】下を見ると、ロープか何かに捕まっていて、引きあげようと欄干の隙間から手を伸ばしました。
【検察官】手は届きましたか?
【当時19歳の女】ギリギリ届くか届かないかのところでした。
【検察官】Aさんはどうなりましたか?
【当時19歳の女】消えました。
【検察官】消えるまでどのくらいでしたか?
【当時19歳の女】体感で6秒くらいでした。
【検察官】声は聞こえましたか?
【当時19歳の女】「キャー」という高い叫び声が聞こえました。
【検察官】そのあとは何か聞こえましたか?
【当時19歳の女】「バン」という何かにぶつかったような図太い音がしました。
当時19歳の女は、この最後の場面を証言した理由について、「梨瑚さんが話しているようなことは一切なく、でたらめで、全部作り話で、最初から最後まで全部嘘」だと述べ、自分だけでも本当のことを話さなければならないと思ったと話した。

