どこで受診したらよいの? 知っておきたい「コツ」
これまでにも全国各地で市民公開講座を実施してきた消化管外科の山本健人先生は、「誰もが正しい情報を身につけ、自信を持って受診し、医師と話し合える世界を作りたい」という思いで「病院のかかり方——がんになったらどこで治療を受ける?」というテーマで講演を行いました。
「日本人の医療に関する自己評価は他国に比べて低くとどまっています」――。山本先生は冒頭でこのように指摘しました。他国との比較調査では、「適切な受診ができる」と答えた日本人は67.2%にとどまり、諸外国と比べて低い水準でした。さらに、ヘルスリテラシー(健康・医療情報を正しく入手・理解・活用する力)の自己評価も、世界で最も低い水準だといいます。
納得して治療を受けるための「セカンドオピニオン」
自分にとってより良い治療の見つけ方や医療情報の探し方として、一つの手段となるのが「セカンドオピニオン」です。セカンドオピニオンとは「他の医師の意見を聞くこと」であり、治療や検査は行われません。また受診には紹介状(診療情報提供書)が必須であり、保険適用外のため自費診療となります。また、本人が来院できない場合は家族だけでの受診も可能です。
山本先生は「セカンドオピニオンを相談して嫌な顔をする主治医は通常、いません」と前提した上で、「それでも心配な人は、治療を決める前にできるだけ情報を集め、納得したうえで受けたいと一言添えるとよいでしょう」と説明例を紹介しました。また、紹介状(診療情報提供書)については、患者さんが紹介先を選べない、医師が知り合いのいる病院にしか紹介できない、などの誤解が多いのですが、実際には患者さん自身で「あの病院に行きたい」などと具体的な紹介先を希望することもできますし、医師にとって紹介相手が知り合いでないこともよくあります。
では、紹介先を選ぶ際のポイントは何か。これについて山本先生は「専門性」と「通いやすさ」の2点であると説明します。さらに具体的な観点として、「診療実績・件数、技術認定医の在籍の有無、多職種のサポート体制を確認することが重要です。大腸がんの治療は長期戦になることも多く、継続して通える環境かどうかも重視しましょう」と解説しました。
正しい医療情報を得るための「選び方の基準」
インターネット上には数多の情報が発信されており、その内容は玉石混交です。間違った情報を信じると命にかかわる可能性もある医療情報の選び方について、山本先生は、「公的機関の情報を参照」「出典のある情報を信頼」の2点を呼びかけました。国が運営している一般の人向けのがん情報サービスや各種学会の患者さん向けガイドラインなどが挙げられます。
情報の選び方が難しい一例として、山本先生は一部の大腸がん患者さんが造設することになる「人工肛門(ストーマ)」に言及しました。過去に米国で行われた研究では、大腸がんの治療において患者さんが最も重視することについて調査したところ「人工肛門にならないこと」を「最も重要」と答えた人が最多であり、「がんが治癒すること」よりも多かったという結果が示されました。
しかし、人工肛門による生活の制約は、世間的に想像されているものより小さいといえます。山本先生は「たとえば入浴やスポーツに関して制限はなく、いくつかの注意点に気を付けていれば普通の人と同様に楽しむことができます。どんな治療であっても、正しい情報にアクセスし、自分自身が納得した上で選択することが後悔しない決断につながります」と締めくくりました。

山本健人先生
「早く見つけて、早く治す」——今日から始める大腸がん予防への一歩
閉会の挨拶を務めた消化管外科の肥田侯矢先生は、今回の講座が満席となったことへの感謝を述べるとともに「まずは検診から」と参加者の方々への検診受診を改めて促しました。そして、「今後も京都大学医学部附属病院消化管外科とKUCCIEは、市民公開講座やデジタルでの情報発信を通じ、がんに関する正しい知識を広く届ける活動を続けていく」と締めくくりました。
市民公開講座当日に配布された『大腸がん丸わかりBOOK』
- 【闘病】検査を先延ばしにした後悔… 『大腸がん』発覚と「人工肛門」になる恐怖
──────────── - 【前編】内田春菊「痔だと思っていたら大腸がん」見逃しやすい初期症状と40代から受けるべき検査
──────────── - 【後編】内田春菊、大腸がん治療で「人工肛門」に。“思っていたより大変じゃない”生活の実態とは
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