●GPS共有、罰金300万円の誓約書…家庭に張り詰める緊張感
AさんはスマートフォンのGPSアプリで、夫に居場所の共有を義務づけた。もっとも、夫からもAさんの居場所が見える。
さらに、「二度と利用しない」という誓約書も交わした。違反した場合、300万円の“罰金”を支払うという内容だ。法的効力があるとは思っていない。それでも、何かしなければ気持ちの持っていき場がなかった。
発覚直後は感情を抑えられなかった。会話はLINEを通じておこない、顔を合わせて話すことすら避けていたという。
ときには「手が内出血するくらい」の強さで夫を殴ったこともある。
また、「死をもって謝罪しろ。子どもがいなくなったら私はあなたを殺す」と口にしてきたという。
もちろん、Aさん自身もそれが家庭内暴力(DV)にあたることは理解しており、後になって反省することもある。
●頼ったのは「チャッピー」だった
「責めると、あの人は何も言い返さずに黙るんです。私は言葉が欲しいのに、何も言わない。それがまた腹立たしいんです」(Aさん)
つらい経験を打ち明けられる相手は、案外少ない。
Aさんの両親はすでに他界している。友人や職場の人には、口が裂けても言えないという。事情を打ち明けたのは、義母と子どもたちくらいだった。
心の置きどころを求めてカウンセリングにも通ったが、しっくりこなかった。
「『ご主人に埋め合わせをしてもらえば』と言われたんです。でも、そういうことを求めているわけじゃない。この気持ちとどう向き合えばいいのか、それを知りたかった」
そんなAさんが頼ったのは、対話型AIだった。
「『回復には2〜3年かかる』とチャッピー(ChatGPT)に言われました。やり場のない気持ちを、AIにも夫にもぶつけているんです。
『痛みとともに再構築していくんだ』と考えています。ネットにも本にもそう書いてある。でも、やっぱり許せなくて」

