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患者さんの「笑顔」と「生活の質」を諦めない――京大消化管外科教授が語る“診療で最も大切なこと”

患者さんの「笑顔」と「生活の質」を諦めない――京大消化管外科教授が語る“診療で最も大切なこと”

京都大学医学部附属病院消化管外科は、「すべては患者さんの笑顔のために」という標語のもと、食道・胃・大腸におけるあらゆる消化管疾患の診療と教育に取り組んでいます。体への負担が少ないロボット支援下手術、多職種・多診療科による「大腸がんユニット」、そして「人の痛みのわかる外科医」を育てる教育。教室として日々の診療で大切にしていることを、同科教授の小濵和貴先生に聞きました。


小濵 和貴

監修医師:
小濵 和貴(医師)

日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医
日本内視鏡外科学会技術認定医・ロボット支援手術プロクター
日本消化器病学会専門医

上部消化管の外科手術(胃がんや食道がんなど)を担当しております。 患者さん一人ひとりの病状や背景を十分に考慮して、最も適した治療方法を提案・提供できるようにしている。

「迷ったときに立ち返る”判断軸”」となる――掲げ続ける教室標語の意義

「すべては患者さんの笑顔のために」という標語は、先代の教授から引き継ぎました。患者さんの笑顔を目指す、とは多くの医療者が口にすることだと思います。しかし、「患者さんの笑顔のために」我々は何をすべきでしょうか。
医師として治療を行い、患者さんが長生きできるようになるのはもちろん大切です。ただし、QOL(生活の質)をどう上げていくかというところまで考えないと、患者さんは本当の意味で笑顔にはなれません。

そのために重要なのは、私たち自身が患者さんに信頼される医師で居続けることだと思っています。患者さんへの対応でも、自分の振る舞いでも、判断に迷ったときに立ち返ることができる”軸”となる考え方が必要です。

患者さん第一で、医学的に「治すこと」だけでなくその後の人生まで考える。この判断軸に戻ってくれば、大きく道を間違えることはないはずです。一つの大規模教室として共通理念を作ることで、チームの統一性を保っています。

上下関係のないチームが、手術の質と安全を守る

手術手技の向上を目指して、私たちはロボット支援手術などを行った後にビデオレビュー(手術検討会)を開催しています。スタッフ全員で手術映像を見ながら「どうすればより良い手術操作になるか」「どう動けばより良い展開になるか」と意見を出し合うのです。

このときに大切なのは、誰もがフラットな立場で発言できる雰囲気であり、教授としても皆が発言しやすい環境を作ることを意識しています。『心理的安全性』と言ってもいいかもしれません。
誰か一人、声の大きい者が発言してほかのメンバーが従うという構造はよい議論を生みません。当教室では私から「立場や職歴にかかわらず、何でも言ってほしい」とスタッフたちにお願いしており、実際、私に対しても若手が遠慮なく意見を言ってくれます。
チーム全員が当事者意識を持って常に物事を言い合い、情報共有を徹底していれば、万が一誰か一人が抜けていた場合もほかのメンバーで補うことができます。このような体制の構築こそが、結果として患者さんの安全、そして手術の質の向上にもつながると考えています。

配信元: Medical DOC

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