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患者さんの「笑顔」と「生活の質」を諦めない――京大消化管外科教授が語る“診療で最も大切なこと”

患者さんの「笑顔」と「生活の質」を諦めない――京大消化管外科教授が語る“診療で最も大切なこと”

外科医だけで決めない。多科連携で多角的に最適な治療法を探る

当科は以前から、低侵襲手術(ロボット支援手術や腹腔鏡手術)を看板に掲げて様々な消化器がんの治療に取り組んできました。他診療科との連携体制が整っているため、泌尿器科や産婦人科と一緒に入る骨盤の大きな手術にも対応できますし、進行直腸がんや再発直腸がんに対しても、こうした連携の元、できる限り負担の少ない手術につなげるように努めています。

もう一つの特徴が、「ユニット」と呼ばれる多診療科の合同チーム医療体制です。消化器内科、腫瘍内科、放射線治療科、外科、病理など、大腸がんをはじめとする消化器がん診療に関わる医師たちが集まって、患者さん一人ひとりの治療方針を一緒に考えます。
ユニットをつくることで、外科だけで治療方針を決めて手術を急いだり、逆に内科だけで「これは手術できないだろう」と治療のチャンスを失ったりすることがなくなります。多様な専門の目で患者さんを診て、「これが今の患者さんには最適だ」と思える治療法をユニットで探す仕組みは、大学病院ならではの強みともいえるかもしれません。
なお、消化器がん以外でも、消化器内科と協働で取り組む炎症性腸疾患(IBD)の診療や糖尿病内科と協働で取り組む肥満外科手術など、消化管全域で同じ姿勢で診療に当たっています。

「しんどい」ばかりでは、若い外科医は来てくれない

消化器外科医の減少が課題とされる昨今、新しい消化器外科医の育成は急務です。しかし外科医減少という状況の一因は、私たち消化器外科医自身が今まで正しく情報を発信できておらず、現代の価値観とは異なる働き方を当たり前のようにしてきたことにあるのだろうと考えています。消化管外科を目指してくれる医学部生や研修医自体が減ったわけではありません。
しかし、2年間の臨床研修の間に、私たちが消化器外科の大変さばかり口にしていれば、当然彼らは魅力を感じてくれません。私たち自身が意識を変えて、外科という仕事本来のやりがいや楽しさを発信していかなければと思っています。

医療の世界でも、2024年から「働き方改革」が始まりました。当教室でも徐々に働き方の改善に取り組んでいます。たとえば最近では、診療体制を主治医制からチーム制に変え、土日は当番の医師だけが診療にあたり、休日はきちんと休めるよう整えました。まだまだ働き方の環境改善は途上ですが、健全な働き方をきちんと実現していかなければと思っています。
京都大学消化管外科学教室の教育において最も大切にしたいのは、「人の痛みのわかる外科医」を育てることです。技術や臨床力、研究力ももちろん大事ですが、それ以上に、患者さんの痛みがわかる、患者さんに寄り添える医師であってほしい。「すべては患者さんの笑顔のために」と心から思う外科医を育てる場を築いていきたいと考えています。

配信元: Medical DOC

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