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「届けるべき人」に医療情報を届ける――京大消化管外科が市民へのがん啓発で“あえてやめたこと”

「届けるべき人」に医療情報を届ける――京大消化管外科が市民へのがん啓発で“あえてやめたこと”

医療者の役割は「情報の選び方」の“指標”を示すこと

ウェブ上の情報、SNS、書籍を含め、医療情報は玉石混交です。「書籍は信頼できる」と思っている人もいるかもしれませんが、表現の自由に守られていることもあり、内容にバラつきがあるのが実情です。実際に、自分や家族ががんになった場合、「正しい情報」を選び出すのは至難の業です。
例えば私たち医療者が、専門外である法律に関して玉石混交の情報の中から「正しいものを選びなさい」と言われても難しいと思います。同じことが患者さん側でも起こっています。
そのような状況下で医療者に求められる役割は「情報の交通整理」ではないでしょうか。星の数ほどある情報の中から、「信頼性が高いのは、国が運営するサイトや公的機関のお知らせなどの公的情報です」「出典が記載されている情報を信用してください」というような選び方の指標をきちんと発信し、一般の人の読解リテラシーを高めていくことが、私たちの役割であると思います。
ただし、間違った情報を一つひとつ指摘していく方法は、個人的にはあまりよいやり方ではないと考えています。
誤情報は次から次へと出てくるので、追い切れません。正しい情報の選び方をきちんと伝えたほうが、結果として持続的な啓発活動につながるはずです。
なお私自身はX(旧Twitter)や『すばらしい人体』などの著書を通じて、個人でも情報発信を続けてきました。個人発信は医療を身近に感じてもらえる温度感を出せる一方、大学病院や学会の看板を背負ったKUCCIEでは、公的機関としての信頼性を持ってもらいやすいという特長があります。両者の強みを使い分けることが、より広い層に情報を届ける鍵だと考えています。

フィードバックを次の講座に生かす仕組み

KUCCIEの取り組みで意識しているもう一つの軸が、啓発・教育活動を、臨床と同じようにサイエンスで評価することです。
臨床現場では、手術や薬剤の効果をデータで評価するのが当たり前です。一方で、市民啓発や教育の世界は効果計測が難しいこともあって、「役に立ちました」「勉強になった」と参加者から声をもらえるだけで満足してしまいがちでした。
今回の市民公開講座では、プロジェクトメンバーでの綿密な計画のもとにアンケート調査を行い、医療情報収集に用いるツールや、がん検診の受診率などをすべてデータ化しました。そして、どのプラットフォームでどう広報すれば、どのような層に情報が届くのか、どのような行動変容を促せるのか、といった解析を行い、次の講座に生かす仕組みを作ろうと考えています。

配信元: Medical DOC

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