「カメラ、カメラ」…流出音声に残された男女の意識差
この音声には、非常に興味深いもう一つの声が記録されていた。男性たちがソン・フンミンを揶揄して盛り上がっていた裏で、一人の女性の声で「カメラ、カメラ(撮影中だよ)」と注意を促す音声が入っていたのだ。
この短いやり取りは、韓国における「兵役問題に対する男女の意識差」を如実に表している。
男性たちにとっては、兵役免除者への皮肉や嫉妬は、居酒屋で交わされるような日常的な愚痴の延長線上にある。公の場であっても、そのリミッターが外れてしまうほど根深い感情なのだ。 しかし、兵役義務のない女性の視点からすれば、それは「公の場で口にすべきではない危険な暴言」であり、客観的なリスクでしかなかった。「我が事」として痛みを伴って捉え、歪んだ優越感に浸る男性と、一歩引いた視点でその異常な執着にストップをかけようとした女性。この「カメラ」という一言は、韓国社会が抱えるジェンダー間の温度差を奇妙な形で浮き彫りにした。
W杯という大舞台を前に発覚した、自国の英雄に対する兵役ハラスメント。関係者のモラル欠如は糾弾されるべきだが、その根底には、プロ野球、eスポーツ、そして一人のポケモン世界王者をも巻き込んできた、韓国社会の深く治りきらない傷跡が横たわっている。
