令和8年(2026年)6月3日、厚生労働省が2025年の人口動態統計(概数)を発表しました。2025年に国内で生まれた日本人の子どもの数(出生数)は前年比2.2%減の67万1,236人となり、10年連続で過去最少を更新。合計特殊出生率も1.14と過去最低を記録しました。東京都では出生数が前年比約1%増と10年ぶりに増加へ転じたものの、全国的には少子化に歯止めがかからない状況が続いています。
そんな中、今年5月、正常分娩にかかる出産費用を公的医療保険で全額賄い、自己負担をゼロにする「出産費用無償化」を盛り込んだ改正健康保険法が参院本会議で可決・成立しました。公布から2年以内の施行に向け、厚生労働省が全国一律の価格設定の検討を進めています。少子化対策の柱として期待を集めるこの制度に、当事者たちはどう向き合っているのでしょうか。
ベビーカレンダーは、現在子育て中または妊娠中のママ615人を対象にアンケート調査を実施。出産費用無償化への賛否、そして「2人目以降を産む後押しになるか」を直接聞きました。
出産費用無償化に「賛成・どちらかといえば賛成」が約7割!制度そのものは歓迎ムード一方、「2人目の後押しになる」は51%にとどまり、約4割が「後押しにならない」と回答必要な支援の1位は「柔軟な働き方の保障」。「出産費用無償化」は6位にとどまる2人目の壁は"産む瞬間"より"産んだあとの20年"!カギは長期の経済的支援×キャリア継続出産費用の無償化に約7割が「賛成」!制度への期待は高い
まず、出産費用の無償化そのものについて賛否を聞いたところ、「賛成」44.7%、「どちらかといえば賛成」22.6%を合わせて67.3%が制度を支持しました。「反対・どちらかといえば反対」の合計は12.7%にとどまりました。
【Q.「出産費用の無償化」に賛成ですか?】
(有効回答数:615)
賛成 44.7%
どちらかといえば賛成 22.6%
どちらともいえない 20.0%
どちらかといえば反対 9.3%
反対 3.4%

賛成の声からは、出産費用そのものへの負担感や、自己負担が生じるケースへの納得しづらさがうかがえました。
"地域によって出産費用に格差があると思います。私は里帰りのため地方で出産しましたが、都内であれば手出しがさらに増えていたのではと感じるため、無償化に賛成します。"
"一時金の額は上がっていますが、出産費用自体も上がっているため、自分の持ち出しは20万円以上ありました。不妊治療でも多額の費用がかかっていたので正直つらかったです。また、安産で時間もかからなかったのに、日曜・祝日・夜間という理由でかなりの額になり、モヤモヤしました。"
一方で、「帝王切開など対象外になるケースがある」「場合によっては逆に手出しが増えるかもしれない」「産院が経営悪化して撤退するのでは」といった懸念の声も多く寄せられており、手放しの歓迎とはなっていません。
「賛成だけど、2人目はまた別の話」——後押しになると答えたのは半数のみ
続けて「出産費用が無償化された場合、2人目以降の妊娠・出産を考える後押しになるか」を聞きました。
【Q.「出産費用の無償化」は、2人目以降の
妊娠・出産を考える後押しになると思いますか?】
(有効回答数:615)
大きな後押しになる 13.5%
ある程度後押しになる 37.9%
どちらともいえない 10.6%
あまり後押しにはならない 26.5%
まったく後押しにはならない 11.5%

「大きな後押しになる」はわずか13.5%。「ある程度後押しになる」を合わせても51.4%と過半数をやや超える程度にとどまり、「あまり・まったく後押しにはならない」が38.0%に上りました。制度に賛成しながらも、2人目以降を産む決断への効果は限定的だと感じている当事者が多い実態が浮き彫りに。
「後押しにならない」と答えた層の自由記述には、共通する訴えがありました。
"出産費用の無償化は助かりますが、産んでからもミルクやおむつ代の控除はなく、医療費や大学の授業料もかかるままでは、たくさん子どもを産みたいとは思えません。上がらない手取りのままでは、どう考えても難しいです。"
"出産費用は一時的にかかる負担ですが、その後子どもを育てていく上での出費は継続してかかり続けます。継続的な出費に対するサポートがない限り、出産費用無償化は子どもを産み育てる動機づけとしては弱いと思います。"
"あくまで一時的な費用が助かるだけで、育児の出費はかかり続けます。保育園に誰でも入れるようにならなければ、何を支援しても足りないと思います。働けなければ子どもは育てられない。金銭的な余裕があって専業主婦をやっている人は、今はあまりいないのではないでしょうか。"
出産費用は確かに壁のひとつですが、「産む瞬間」だけを支える制度では、2人目・3人目への決断を動かすには十分ではない——そんな本音がうかがえます。

