大動脈解離は、突然の強い胸痛や背部痛で発症し、短時間で重篤になることがある病気です。診断では、症状だけでなく造影CT検査や心エコー検査などで大動脈の状態を確認します。この記事では、大動脈解離の診断に必要な検査、緊急時の流れ、受診の目安について解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
大動脈解離の診断基準と必要な検査

大動脈解離は、症状だけで確定することは難しく、画像検査で大動脈の状態を確認します。ここでは、大動脈解離の診断基準と必要な検査について解説します。
大動脈解離の診断基準
大動脈解離は、症状や診察所見だけで確定することは難しく、画像検査で大動脈の状態を確認して診断します。突然の激しい胸痛や背部痛、痛みの移動、左右の血圧差、脈の触れにくさ、意識障害、麻痺などがある場合には、大動脈解離を疑って検査を進めます。
診断では、大動脈の壁が裂けて血液が入り込んでいるか、真腔と偽腔が形成されているか、解離がどこまで広がっているかを確認します。特に、上行大動脈に解離が及んでいるかどうかは治療方針を大きく左右します。
大動脈解離の診断に必要な検査
大動脈解離の診断で中心となるのは、造影CT検査です。造影CTでは、大動脈のどの部分に解離があるか、破裂の危険があるか、臓器への血流障害がないかを短時間で確認できます。
また、心臓超音波(心エコー)検査も行われることがあります。特に、心臓に近い上行大動脈の解離、大動脈弁逆流、心タンポナーデの有無などを確認する際に役立ちます。状態が不安定でCT室への移動が難しい場合にも、ベッドサイドで評価できることがあります。
そのほか、血液検査、心電図、胸部X線検査なども行われます。血液検査では貧血や腎機能、炎症反応、凝固系などを確認します。心電図は、心筋梗塞など胸痛を起こす別の病気との鑑別にも役立ちます。
大動脈解離で緊急時に行われる主な検査

大動脈解離が疑われる場合は、造影CTや心エコーなどで緊急性を評価します。ここでは、大動脈解離で緊急時に行われる主な検査を解説します。
造影CT検査
大動脈解離が疑われる場合、診断の中心となるのが造影CT検査です。造影剤を使って大動脈を詳しく撮影し、血管の壁が裂けている場所や範囲を確認します。
造影CTは、解離が上行大動脈におよんでいるか、胸部から腹部までどの範囲に広がっているか、破裂の危険がないか、臓器への血流障害がないかを評価できます。特にStanford A型かStanford B型かを判断するうえで重要な検査です。
心エコー検査
心エコー検査は、超音波を使って心臓や心臓に近い大動脈の状態を調べる検査です。大動脈解離では、上行大動脈の解離、大動脈弁逆流、心タンポナーデの有無などを確認する目的で行われます。
心タンポナーデとは、心臓のまわりに血液がたまり、心臓の動きが妨げられる危険な状態です。Stanford A型大動脈解離では命に関わる合併症となるため、早急な確認が必要です。
胸部X線検査
胸部X線検査は、胸の中の大まかな状態を確認する検査です。大動脈解離では、縦隔の拡大や大動脈陰影の異常、胸水の有無などを確認することがあります。
ただし、胸部X線検査だけで大動脈解離を確定診断することはできません。異常がはっきり出ない場合もあるため、疑いがある場合には造影CTなどの画像検査で詳しく確認する必要があります。

