大動脈解離の検査から治療までの流れ

大動脈解離は、救急搬送後に全身状態を確認しながら、できるだけ早く検査と治療方針の決定を進めます。ここでは、大動脈解離の検査から治療までの流れについて解説します。
救急搬送から検査実施までの流れ
大動脈解離が疑われる場合、救急搬送後はまず全身状態の確認が行われます。血圧、脈拍、呼吸状態、意識状態、酸素飽和度などを確認し、胸痛や背部痛の有無、痛みの出方、麻痺や失神などの症状がないかを評価します。
同時に、心電図検査、血液検査、胸部X線検査などが行われることがあります。大動脈解離は心筋梗塞や肺塞栓症など、ほかの緊急疾患と似た症状を示すことがあるため、これらの病気との鑑別も重要です。
大動脈解離が疑われる場合には、造影CT検査で大動脈の状態を確認します。造影CTでは、解離がある場所、広がり、上行大動脈に及んでいるか、破裂や臓器への血流障害がないかを調べます。状態が不安定でCT室への移動が難しい場合には、ベッドサイドで心エコー検査が行われることもあります。
検査から治療開始までの所要時間
大動脈解離は、治療開始までの時間が予後に関わる病気です。そのため、疑われた時点でできるだけ速やかに検査を進め、診断がつき次第、治療方針を決めます。
Stanford A型大動脈解離では、上行大動脈に解離が及んでおり、心タンポナーデや大動脈弁逆流、冠動脈障害など生命に関わる合併症を起こすことがあります。そのため、診断後は緊急手術に向けて準備が進められることが多くなります。
一方で、Stanford B型大動脈解離では、破裂や臓器虚血などの合併症がなければ、まず血圧や脈拍を下げる薬物療法を中心に管理することがあります。合併症がある場合には、カテーテル治療や手術が検討されます。
実際の所要時間は、病院の体制、患者さんの状態、検査結果、合併症の有無によって異なります。
大動脈解離の受診目安と注意点

大動脈解離は、突然の強い胸痛や背部痛など、すぐに対応が必要な症状があります。ここでは、大動脈解離の受診目安と注意点について解説します。
大動脈解離が疑われる症状
大動脈解離は、突然の強い胸痛や背部痛が代表的な症状です。「引き裂かれるような痛み」「経験したことのない激しい痛み」と表現されることもあります。痛みは胸だけでなく、背中、腹部、腰へ移動するように感じる場合もあります。
また、大動脈解離は血流障害によって、胸や背中の痛み以外の症状が出ることもあります。例えば、意識が遠のく、冷や汗が出る、息苦しい、手足に力が入らない、ろれつが回らない、足が急に冷たくなる、強い腹痛が出るなどです。脳梗塞や心筋梗塞のような症状で見つかることもあります。
すぐに受診した方がよい症状
次のような症状がある場合は、すぐに救急要請を検討します。
突然の激しい胸痛
突然の激しい背部痛
胸から背中、腹部、腰へ移動するような痛み
冷や汗、強い吐き気、息苦しさ
失神、意識が遠のく感じ
手足の麻痺、しびれ、ろれつが回らない
足の急な痛み、冷感、色の変化
強い腹痛や尿量低下
大動脈解離は、痛みが一時的に軽くなっても安全とは限りません。特にStanford A型では、治療が遅れると大動脈破裂や心タンポナーデなどの生命に関わる合併症につながることがあります。

