親と子で「知らない人」の定義が違う

――まったく知らない人から声をかけられたら、子どもも「危ない人かも」と警戒できるかもしれませんが、顔見知りの人からの性暴力があるかも、と心配です。
舟生 親の考える「知らない人」と、子どもが思う「知らない人」は、少し定義が違います。子どもにとっては、公園でいつも見かける犬の散歩のおじさんは「知っている人」になってしまうこともあります。だからこそ、親子で「知らない人ってどういう人?」という話をする必要があると思います。
また、名札や持ち物に書かれた名前を見て、「〇〇ちゃん」と声をかけられると、知り合いかもしれないと思ってしまうことも。最近では学校でも、外に出る前に名札を外す指導をしていますよね。カバンなど持ち歩くものに名前を書く場合も、外から見えない場所に書く、または名前の代わりにマークを使うなどの工夫が必要です。住所や氏名が外から見えないようにしましょう。
―― 子どもを狙う性加害者に共通する行動はどんなものですか?
舟生 人目につかない場所で声をかける、妙になれなれしい、「お母さんの友達だよ」と知り合いを装う、といった行動は要注意です。また、子どもの好きなキャラクターを利用して誘うケースもあります。「これ好きなんでしょ、あげるよ」と言って家に誘うなど、手口はさまざまです。
なかでも危険なのが、「お母さん(お父さん)が事故に遭った」とうそをつくケースです。そう言われると子どもはパニックになって、ついていってしまいます。
普段の親子の会話がカギになる

――そうした状況に備えて、家庭でできることはありますか?
舟生 普段から「もしお母さんやお父さんに何かあったら、必ず学校の先生や決まった人から連絡が来る」「知らない人が迎えに来ることはない」というルールを、何度も話しておくことです。
「家族が事故に遭った」などと聞けば大人でもあわてますよね。事前に何度も親子で話しておくことで、いざというときに「それはおかしいかも」と少しでも気づけるようになるとよいですね。
――被害に遭ってしまった子どもが、親に隠してしまうこともあると聞きます。子どもが親に打ち明けやすくする関わり方のコツを教えてください。
舟生 日常的に「お父さん・お母さんはあなたの味方だよ」と伝えておくことです。子どもは「こんなことを言ったら怒られるかも」と思うと、被害に遭ったことを隠してしまう可能性があります。
「心配だから話してね」「何があっても味方だよ」と伝え続け、子どもが話しかけてきた時には、忙しくても手を止めて話を聞く。その積み重ねが、いざというときに話をしてくれるかどうかにつながるでしょう。
――うまく状況を説明できない年齢の場合、どんな点に注意すべきでしょうか。
舟生 急に何かを怖がるようになった、元気がなくなった、目を合わせなくなったなど、行動に変化が出るはずです。子どもの普段との違いに気づいてあげることが本当に大事です。
