パーキンソン病で幻覚がみられる場合の家族の対応

パーキンソン病で幻覚がみられるときは、まず否定や叱責を避け、落ち着いて話を聞き、安全性を重視しながら本人の不安を和らげるよう声をかけることが大切です。
幻覚を訴えたときの接し方
まず「そんなものはいない」「おかしい」と否定せず、驚かせないよう落ち着いて話を聞くことが大切です。本人にとっては実際に見えている出来事なので、「怖かったですね」「びっくりしましたね」などと気持ちに寄り添う言葉をかけ、安全性を重視しながらそばにいて安心感を与えます。また、幻覚の内容・時間帯・前後の様子(薬の服用や睡眠状況など)を簡単にメモに残し、受診のときに主治医へ具体的に伝えて、薬の調整や治療方針の検討につなげていきます。
安全な生活環境の整え方
まず転倒やケガを防ぐため、通路や寝室・トイレまでの動線に物を置かず、コードや段差を減らしてつまずきにくい環境に整えることが大切です。暗がりの影が人影や虫に見えやすいため、足元灯や人感センサー付きライトを活用し、夜間も適度な明るさを保つようにします。また、刃物やガラス製品など危険物は手の届かない場所に片づけ、ベッド周りには角の少ない家具やクッション性のあるものを選ぶことで、万一のときのケガのリスクを減らします。
パーキンソン病の幻覚についてよくある質問
ここまでパーキンソン病の幻覚を紹介しました。ここでは「パーキンソン病の幻覚」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
パーキンソン病では幻覚はよく起こりますか?
伊藤 規絵 医師
パーキンソン病では、進行とともに幻覚(主に幻視)がみられます。特に、発症から数年たった進行期、高齢の方、認知機能の低下や睡眠障害を伴う方では起こりやすいとされています(幻覚と妄想は12年の経過で実に60%の患者さんで出現するとされています)。はじめは「人影が見えた気がする」「床のゴミが虫に見える」など一瞬の軽い見間違いから始まり、だんだんとはっきりしたヒトや動物が見えるようになる場合もあります。ただし、すべての患者さんに起こるわけではなく、薬の種類や量、からだ・こころの状態などによって起こりやすさには大きな個人差があります。
幻覚が出た場合はすぐに受診をした方がよいですか?
伊藤 規絵 医師
基本的に早めに主治医へ相談していただくことをおすすめします。急に頻度が増えた、内容が怖くて眠れない・外出を嫌がる、興奮や妄想を伴って安全面が心配などの場合は、受診を急いだ方がよいサインです。一方で、ご本人があまり気にしておらず生活への支障も軽い場合は、次回受診までの経過をメモし、どの薬をどのくらい飲んでいるとき・どのような時間帯に・どのような幻覚が出るのかを相談してもかまいません。ただし、転倒や自傷他害の危険を感じるときや、せん妄のように急激に意識が変わった場合は、救急受診を含めてすぐに医療機関へ連絡してください。

