「健康診断でLDLコレステロールが高い」と指摘されたら毎月の“薬代”はいくら?

「健康診断でLDLコレステロールが高い」と指摘されたら毎月の“薬代”はいくら?

「健康診断でLDLコレステロールや中性脂肪が高いと指摘されたけれど、通院費はどれくらいかかるのだろう」「薬を飲み続けると、毎月の出費が心配だ」といった不安を感じている方は少なくないのではないでしょうか。脂質異常症(ししついじょうしょう)は自覚症状がほとんどないため、治療の必要性を実感しにくく、いつまで通院が続くのか見通しが立てづらいと感じる方も多いはずです。月々どれくらいの費用がかかるのかを早めに知っておくことは、治療を続けていくうえでも、家計管理のうえでもとても重要です。この記事では、外来通院・薬代・検査費用の目安を3割負担を基準に整理し、自己負担を軽減できる公的制度についても解説します。


佐々木 健也

監修医師:
佐々木 健也(医師)

高知医科大学医学部(現・高知大学医学部)卒業。消化器内科医として10年以上にわたり、大学病院や基幹病院で肝胆膵領域の専門診療に従事。ウイルス性肝炎、MASH(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)、肝細胞がんを中心に、最新のガイドラインに基づく標準治療から地域医療における患者マネジメント、病診連携まで幅広く携わる。アルコール依存症診療にも豊富な経験を有し、精神科領域への出向経験を生かして、物質依存症や行動依存症に対する医学的助言も行う。近年は父親としての育児経験を契機に、小児の成長・発達、児童心理、発達障害、児童精神医学にも関心を広げ、看護師や公認心理師など多職種と連携した研究プロジェクトの準備を進めている。日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会専門医。

脂質異常症の月々の治療費:外来・安定期の目安

脂質異常症は、血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪(ちゅうせいしぼう)が基準値を超えた状態、またはHDL(善玉)コレステロールが基準値を下回った状態を指します。健康診断で指摘されて初めて受診する方が多く、診断当初から症状がないまま治療が始まることがほとんどです。
診断後・外来通院中で数値が安定している安定期の目安としては、クリニックと薬局を合わせて月3,000円〜7,000円程度に収まることが多いです。通院は月1回が基本で、血液検査は2〜3ヶ月に1回程度行われます。治療の中心はスタチン系薬と呼ばれる薬で、LDLコレステロールの合成を抑える働きがあります。ジェネリック医薬品(後発医薬品)を使用した場合、薬代を大幅に抑えられることが特徴です。

■ クリニックでかかる費用(医療機関)

クリニックでは、診察料と検査費用が主な支出となります。2024年度の診療報酬改定により、脂質異常症は「生活習慣病管理料(せいかつしゅうかんびょうかんりりょう)」の対象として再整理されました。生活習慣病管理料とは、医師が患者ごとに療養計画を作成して継続的に管理する際に算定される費用のことで、個別の状況に合わせた治療管理が評価されます。医療機関によっては、診察代・検査代・指導料が一括で計算されます。

内容月の目安(3割負担)備考

診察料・生活習慣病管理料1,500〜3,000円月1回通院の場合

血液検査(LDL・HDL・中性脂肪など)600〜1,500円2〜3ヶ月に1回程度

合計目安約2,000〜4,500円/月-

※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。

■ 薬局でかかる費用(薬代)

薬局では、コレステロールを下げる薬の費用が中心です。代表的なスタチン系薬として、アトルバスタチン(先発品名:リピトール)やロスバスタチン(先発品名:クレストール)があります。先発品(せんぱつひん)とは、最初に開発・発売されたオリジナルの医薬品のことです。ジェネリック医薬品はこの先発品と同じ有効成分で同等の効果が認められた薬で、価格は先発品の約3〜5割程度に抑えられています。たとえばアトルバスタチンのジェネリックは、先発品と比べて年間10,000〜17,000円ほど節約できるケースもあります。

内容月の目安(3割負担)備考

調剤料400円前後その都度発生

スタチン系薬(先発品)1,500〜3,000円種類・用量により変動

スタチン系薬(ジェネリック)500〜1,500円先発品の約3〜5割

合計目安(ジェネリック使用)約900〜2,000円/月-

※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。

ジェネリック医薬品を活用することで、安定期であれば月々の総費用を3,000〜5,000円程度に抑えられる場合があります。処方箋を持って薬局を訪れた際に「ジェネリックに変更できますか?」と確認するだけで手続きできます。(ただし、処方箋に医師が「変更不可」と指示している場合は、薬局では変更できません)なお、2024年10月からジェネリックがある先発品をあえて選ぶ場合は差額の一部を自己負担する「選定療養」制度が始まっており、2026年度中にはその負担額がさらに引き上げられる方向で検討されています。ジェネリックへの早めの切り替えを検討することをお勧めします。

重症化すると医療費はどう変わるか

脂質異常症は、治療せずに放置すると血管の壁に脂質が少しずつ蓄積し、動脈硬化(どうみゃくこうか)が進行します。動脈硬化とは、血管の壁が硬くなり弾力を失った状態のことで、血液の流れが悪くなります。さらに進むと、血管の中に「プラーク(粥腫・じゅくしゅ)」と呼ばれる脂質のかたまりが形成されます。このプラークが破れると血の塊(血栓)ができ、急性心筋梗塞(きゅうせいしんきんこうそく)や脳梗塞(のうこうそく)を引き起こします。
急性心筋梗塞でカテーテル治療(経皮的冠動脈インターベンション・PCI)を行った場合、1入院あたりの医療費は約87万〜150万円程度が目安です(3割負担では約26〜45万円)。脳梗塞の場合は約73万〜100万円(3割負担では約22〜30万円)が目安です。なお、高額療養費制度を利用することで実際の自己負担は月の上限額以内に抑えられますが、それでも安定期の外来通院と比べると費用の差は非常に大きくなります。

状態主な治療内容月の目安(3割負担)備考

安定期(脂質管理のみ)薬物療法・定期血液検査3,000〜7,000円外来通院のみ

複数薬剤が必要な段階スタチン+フィブラートなど7,000〜15,000円薬剤数が増加

急性心筋梗塞(入院・手術)カテーテル治療(PCI)など高額療養費後:約8.7万円/月※1高額療養費を活用

脳梗塞(入院・リハビリ)急性期治療+長期リハビリ高額療養費後:約8.7万円/月※1長期入院になることも

※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。

※1 高額療養費の自己負担上限は医療費総額によって変動します(年収370〜770万円の方で約87,430円が目安)。
数値が安定しているからといって、自己判断で服薬を中断することは危険です。症状がないまま動脈硬化は進行しているため、「薬を飲んで数値が落ち着いている状態」を長期間維持し続けることが重要です。安定期の治療費を支払い続けることが、最終的には高額な合併症治療費を防ぐことにつながります。

配信元: Medical DOC

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