老老介護で要介護者に生じやすいリスク

介護者の体力や判断力が低下していると、転倒・誤嚥・脱水などの事故や、必要なケアが十分に行き届かないケアの抜けが起こりやすいです。
十分な介助が受けられない可能性
介護者も高齢で体力や判断力が低下しているため、要介護者が十分な介助を受けられない可能性が高まります。入浴や排泄、服薬管理などの日常生活動作に対して、必要なタイミングでサポートが行えず、転倒や脱水、誤薬などの事故リスクが上昇しやすいです。
また、介護者が疲労や持病の悪化で動けなくなると、食事や水分補給、オムツ交換などが遅れ、褥瘡や栄養不良、感染症などの健康被害につながるおそれもあります。
さらに、介護者が「迷惑をかけたくない」と外部サービスの利用を控えることで、家庭内だけで介護を抱え込み、結果的に要介護者へのケアが細やかに行き届かなくなるケースも少なくありません。
参照:『老老介護・認認介護とは 』(健康長寿ネット)
転倒や事故のリスク
老老介護は、要介護者の転倒や事故のリスクが高まりやすい状況です。介護者も高齢で筋力や反応速度が低下しているため、ふらつきや立ちくらみがあっても十分に支えきれず、立ち上がりや移動の際に転倒してしまう危険が大きいです。
また、段差や敷居、カーペットのめくれ、暗い廊下など、家庭内のちょっとした環境要因への配慮が行き届きにくくなることも、転倒や転落を招く一因です。さらに、介護者の疲労や注意力低下により、ベッドからの転落、車いすからのずり落ち、ストーブやガス器具によるやけど・火災などの事故が起こることもあります。
こうしたリスクを減らすためには、手すりや滑り止めマットの設置、段差解消、見守りセンサーの活用など、環境整備と外部サービスの併用が重要です。
参照:『介護施設内での転倒を 知っていただくために』(日本老年医学会)
低栄養や脱水のリスク
高齢の方同士で行う老老介護では、要介護者の低栄養や脱水のリスクが高まりやすいです。介護者自身も高齢なため、食事の準備や買い物が負担となり、やわらかいもの・簡単なものに偏ってエネルギーやたんぱく質が不足し、体重減少や筋力低下につながりやすいです。
また、高齢の方はもともと喉の渇きを感じにくく、食事量の低下に伴って食事から摂れる水分も減るため、知らないうちに慢性的な脱水に陥ることがあります。
介護者が疲労や体調不良で十分に見守れないと、食べ残しや水分摂取の不足に気付きにくく、低栄養と脱水が同時に進行してしまうおそれがあります。
共倒れを防ぐためにできること

介護を家族だけで抱え込まず、早い段階から地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、介護保険サービスを上手に組み合わせることが大切です。
介護保険サービスの積極的な活用
介護保険サービスを早めかつ積極的な活用が重要です。デイサービスやショートステイを利用すると、要介護者はリハビリやレクリエーションを通じて心身の機能維持が期待でき、介護者はその時間を休養や受診、自分の用事にあてることができます。
また、訪問介護(ヘルパー)を活用すれば、入浴や排泄、掃除・洗濯などの一部を外部に任せることができ、介護者の身体的・精神的負担を大きく軽減できます。さらに、訪問看護や訪問リハビリを組み合わせることで、医療的なケアや専門的なリハビリを自宅で受けることも可能です。
必要なサービスの選択や調整はケアマネジャーと相談しながら進め、介護者が頑張りすぎない仕組みを意識して作っていくことが大切です。
周囲の方への相談と協力依頼
家族や専門職だけでなく、身近な周囲の方へ早めに相談し、協力のお願いがとても大切です。近所の方や友人に「一人で介護をしていて不安がある」「困ったときには声をかけてほしい」と具体的に伝えておくことで、見守りや買い物の付き添いなど、小さなサポートを得やすいです。
また、自治会や民生委員、地域ボランティアなどに状況を共有しておくと、異変の際に気付いてもらえる安心感にもつながります。さらに、かかりつけ医や地域包括支援センター、ケアマネジャーにも介護者自身の負担や不安を率直に伝えることで、公的サービスや支援制度の情報提供を受けやすいです。「迷惑ではないか」と遠慮しすぎず、少しずつ頼る先を増やしていくことが、結果として介護を長く続ける力です。
参照:『淀川区における老老介護の現状と課題 | 卒業研究発表』(大阪医療福祉専門学校)
介護者自身のセルフケア
介護者自身のセルフケアがとても大切です。介護を優先するあまり、自分の受診や睡眠、食事がおろそかになると、持病の悪化や疲労の蓄積につながり、結果的に介護を続けられなくなるリスクが高まります。そのため、定期的な健康診断やかかりつけ医の受診を欠かさず、睡眠時間や休息の時間を自分の大事な予定としての確保が重要です。
また、気分の落ち込みや不安が続くときには、早めに家族や友人、専門職に気持ちを打ち明け、ひとりで抱え込まないことがポイントです。好きな音楽や散歩、趣味の時間など、小さな楽しみを日常に取り入れることも、介護を長く続けるための大切なセルフケアです。

